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親友の死から立ち直るまもなく、可奈子の携帯が着信した。電源を切っても聞こえる押し殺した笑い声――「おまえが殺した」。毎日はフツーだった。そう、「2mb.net」を知るまでは。誰かを勧誘すればネットも携帯も無料というプロバイダに登録した高校生たちを、奇怪な事件が次々襲う。自殺、失踪、連続殺人……。仮想現実に巣くう「極限の悪意」相手の、壮絶なサバイバルが始まった!

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誉田哲也さんの第四回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作です。

一言で言ってしまえば、「突拍子もない!」のですが・・・しかしこれは、想像したらぞっとする世界のようで、けれども下手したら人はこういう想像の中で毎日を生きているのではないだろうか・・と思うと、余計に背筋が冷えたりもするのです。

親友の自殺をきっかけに、誹謗中傷の電話に悩まされるようになった加奈子。
加奈子から無料プロバイダの登録を紹介された雪乃もまた、謎の脅迫に遭うことになった。
そして雪乃から紹介された翔矢は、同じく紹介した光芳から命を狙われることになった。
そしてその光芳は、日本刀で実の母を殺した―

奇妙なプロバイダ登録をきっかけに、繋がった関係。
そして、次々と起こる奇妙な出来事。

一体このプロバイダは何なのか・・

加奈子の母、和泉の視点。
加奈子の視点。
雪乃の視点。

様々な面から突き詰めていくこの事件の、意外な真相とは・・

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最初の頃、乾くるみさんのデビュー作Jの神話を彷彿とさせる突拍子もなさに、「うわ。これは無理かも・・・」と思ったのですが、いやいや。
あそこまで突拍子もなくはならなかったので、安心した次第で(笑)

ネタバレですが。


プロバイダ加入をした人間の、魂を仮想世界に閉じ込め、そしてその仮想世界では、虐待、残虐行為、自殺など・・多種多様な悪意が立ち込めている。

けれどそれは、裏を返せば生身の人間の隠れた欲望であったり、願望でもあるのだろう。

そう思うと、突拍子もない設定なのに、何処か現実的でもあって恐ろしくなった。

「ホラーサスペンス」のジャンルとしては、確かに怖い。

ただ、最近の誉田さんの作品の完成度を考えると、比較するまでもなく、断然この作品は劣っていると思う。
けれども!

武士道シックスティーン」などのスポ根青春小説を書いた人なんだ!
そして、「ストロベリーナイト」などの警察小説を、あんなにも面白く書けちゃう人なんだ!

・・と思うと、初期作品だから仕方がないだろうと妙に納得できたりもして。

少なくとも、乾さんのあの作品よりは普通に読める。

他の作品も読みたくなった。