日本舞踊から剣道に転向し独特の足捌きをする早苗と、パワー、スピード、勝負勘の全てに秀でる剣道エリートの香織。二人は中学最後の区民大会で戦うが、香織はなぜか早苗に負けてしまう。敗れた悔しさを片時も忘れない武蔵オタクの香織に、一切そんなことは忘れているお気楽不動心の早苗。そんな因縁の二人が一緒の高校になった! 竹刀を構える二人の女子が非常にかっこよく美しく、挫折や苦悩を知って成長する姿がなんとも愛おしい、一気読みの傑作青春エンターテインメント誕生!
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誉田哲也さんの本です。
著者プロフィールを見ると、「本書は著者初の、人が一人も死なない青春小説となっている」みたいな事が書かれていたんですけど、今までの本は確かに殺人事件とかそういう感じの本が多そうでした(笑)
となると、今作は相当な新境地だったのではないかと。
となると、今作は相当な新境地だったのではないかと。
だって、全然そういう作品を書いていた作家という感じがしなかったんです。
初めて読んだ作家さんですが、新聞か何かでこの本が薦められているのを見たのでずっと気になっておりました。
予約していたものがようやく手元にきたので、さほど期待せずに読み始めたのですが・・・
予約していたものがようやく手元にきたので、さほど期待せずに読み始めたのですが・・・
大体つまらない本っていうのは、冒頭から「あ、無理かも」と悟ったりするものですが、面白い本っていうのは冒頭から「やばい、期待できそう」なんていう気持ちになったりするものです。
この本はまさに後者のタイプでした。
まあそういう先入観はなしにしても、全く剣道をしらない私がこんなにも物語に引き込まれたんだから、相当凄いと思います。
剣道の「け」の字も知らない程無知な私ですが、可愛らしい挿絵で防具の名前などの詳細が丁寧に描かれていたり、それにちゃんと説明もされているから、あたかも自分が剣道の試合を観ているかのように錯覚してしまうくらい、すんなりと頭に入ってきました。
のほほんとした早苗のキャラと、ツンツンした香織の全く正反対なキャラクターもとても好感が持てるし、勝つこと、強くなることにこだわり続けてきた香織の挫折と立ち直るまでの経緯もとても良かったです。
エイティーンまで続けて欲しいと思います(笑)
それにしても、とても男の子・・というか、男が登場する機会が少ない本だなあと思いました。
2人のお父さん、香織の兄さん、道具屋のおっちゃん、部活の顧問、香織の敵の岡先輩・・
女子高生の話なのに、色恋は一切なし!あるのは剣道と少しばかりの友情のみ。
・・なのに、心地良い。
とても満足した一冊でした。
良いものは、良い!んですね。