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非正規レジスタンス ―池袋ウエストゲートパークVIII―

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街のトラブルシューター・マコトの店の前を、行きつ戻りつ時間を潰すサトシ。売れ残りのバナナを頬張る彼は、人材派遣会社・ベターデイズに登録するフリーター。コインロッカーに持物を預け、ネットカフェで寝泊りするワンコールワーカーの悲惨な生活を知ったマコトのもとに、ユニオンを主宰するメイド服の女があらわれる。水彩画のような東京の四季描写も楽しめる、人気シリーズ、待望の第8弾。

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待ってました、石田衣良さんの池袋ウエストゲートパークシリーズ・第8弾!

石田さん、あなたはやっぱり恋愛小説や官能小説より、ミステリや青春小説の方が向いていると思う!
というか・・私はやっぱりこのシリーズが一番好きです。

何より、とても読みやすい。

シリーズはいつもの通り、3つの短い章と少し長めの1章の計4章で展開されていくのですが、一つ一つの章もすいすい読めるし、最後の章は他の章に比べると重い話も多いのですが・・その時その時の世間の問題が取り入れられていて、色々考えさせられる。

そして、何より良いのはやっぱり登場人物達でしょう。

トラブルシューターのマコト、池袋の王・タカシ、組の渉外部長・サル。
組より怖い、マコトの母。機械関係を自在に操る・ゼロワン・・そして、Gボーイズ・ガールズ達。

マコトの軽快な語り、次々と舞い込んでくる事件やトラブル。

最終的に解決してしまうマコトの力量もさることながら、今回はシングルマザーにとっての世間の厳しさや、非正規の社員達の劣悪な職場環境など・・実際にあった事件が軸になっているであろう、リアリティが感じられて、何だか悲しくもなりました。

大手人材派遣会社のグッドウィルが問題になってしばらく経ちますが、果たして派遣社員たちの仕事の環境は少しでも良い方向に変わっていったのでしょうか?

実際の世の中には、マコトみたいな人間がいるわけではないから・・少しでも環境が良い方向に変化していっていたらと願うばかりです。

ともあれ、やっぱりこのシリーズは大好きです。

今作は、マコトの母の意外な過去と親子愛?もあるので、マコトの母のファンにはオススメの一作です。