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11月そして12月

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とがった顎、不釣り合いなほど大きな目、そして細い指…。君の残像が気になり始めた頃、22歳の僕の周りは急に騒がしくなった―。不倫の果てに自殺騒ぎを起こした姉と、不倫がばれた親父、そしてこんな困った家族のためになぜか奔走する羽目になる僕。いつもと変わらぬはずの11月に起きた、つむじ風のような事件を描く青春ストーリー。

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樋口有介さんの本です。

前回の月への梯子が個人的には少し微妙だったので、今回も恐る恐る読み始めました。

他の人の書評を見ていたら、主人公が後ろ向きで読んでいて面白さがなかった、とか書かれていたりしましたが、いやいや。

やっぱり自分と通じるものがあったのか(笑)、私は結構この主人公のネクラさも嫌いじゃないし、物語としてはなかなか楽しめました。


ぼくと、ぼくらの夏では、高校生の男の子が主人公でしたが、樋口さんは少年が主人公っていうのが結構良いのかも。
でも、沢山小説を出されているようなので、この時点で断言は出来ませんけどね。

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高校・大学を中退し、フリーター生活をしながら趣味のカメラをいじる柿郎。
妻子ある男と不倫をし、自殺未遂をする姉。
25歳の部下の女性と不倫をする父、夫の浮気を疑う母。

そんな柿郎が偶然出会ったのは、犬を連れた女の子。

偶然に出会い、少し言葉を交わしただけなのに、その日から存在が気になり始める柿郎だったが―


なんてことはないのです。
淡々とした日常に、気になる女の子という存在ができて。

家族はちょっとそれぞれ問題が露見してきちゃって・・っていう。
だけど、この淡々とした語り草が私好みなんですよね。

何となく、三田誠広さんっぽいんだけど、三田さんの文章に更に冷静さとちょっとしたおどけた感じをプラスした感じっていうか。

何とも後ろ向きな主人公だったのに、何故か苛立たなかったのは、私の精神状態がよろしくないという事でしょうか。

それと、多分この本を楽しめたのは主人公の住まいが浦和で、川口とか赤羽とか大宮とか通勤圏内の地名が沢山出てきた事も原因だったと思います。

浦和駅前がまだ再開発されていない前が舞台みたいで、凄くしけた場所みたいにかかれてますけども(笑)


ともあれ、樋口さんの本も少しずつ読んで行きたいと思っております。