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最後の願い

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新しく劇団を作ろうとしている度会恭平。納得するメンバーを集めるため、日々人材を探し回る。その過程で出遭う謎。日常に潜む謎の奥にある人間ドラマを、優しい眼で描く青春ミステリー。

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光原百合さんの本です。

これは・・面白かったです!はい。

劇団φを立ち上げるにあたり、脚本家・舞台女優・男優・美術・出資者を集めていくという話といえばそれまでなのですが。

それぞれ独立した短編のようでいて、共通の劇団代表の「度会(わたらい)」という、一見爽やかな若者に見せかけて実は腹黒いかなりSな男と、度会に誘われて劇団に入る事になった舞台男優の風見の飄々としたキャラクターが、とても良いです。

ある意味RPGのように、一つ一つの短編が終わる毎に劇団の仲間を獲得していく・・といった作りなのですが、そこはさすが光原さんで。

一編一編に、謎の事件を踏まえて、それを解決する鮮やかな推理眼を持つ度会と風見の推理で、ある意味でミステリ小説としても充分に楽しませてくれます。

光原さんの本には珍しく(?)、女性がなかなかしたたかな感じだったのは意外ではありましたが。

劇団小説といえば、石田衣良さんの「下北サンデーズ」が浮かぶ所ですが、全く違うジャンルだと思って下さい。

推理小説、青春小説・・・?

これは、ひとくくりにできない面白さのある一作だと思います。

ボリュームがあり、内容も濃いので、読むのに2日かかりましたが・・最初から最後に至るまで、どんどん面白みが増してきて、それもまた乙でした!

やっぱり私、光原さんの描く小説が好きだなあ。