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その時までサヨナラ

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森悟は大手出版社に勤める敏腕編集者。ところが、すべてを犠牲にして仕事に打ち込んできた結果、妻・亜紀と4歳になる息子・裕太とは決定的な溝ができてしまう。2ヶ月前、亜紀は裕太を連れて実家に帰り、離婚を待つばかりだった。
そこに舞い込んだ福島での列車事故の知らせ――。亜紀は亡くなり、裕太は奇跡的に無傷ではあったが、心に大きな傷を負ってしまう。悟は、自分にはまったくなつこうとせず、仕事をする上で邪魔としか思えない裕太を、義理の両親に引き取らせるつもりだった。
そんな時、亜紀の親友・宮前晴子が自宅にやってくる。悟と裕太がしっかりと暮らしていけるように助けてほしいと、死の直前に偶然亜紀から頼まれていたため、その約束を果たしに来たのだというが―

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山田悠介さんの本です。

山田氏は、1981年生まれだからまだ27歳くらいですよね?
その割に相当本を出されているので、全然制覇出来ていないのですが。

過去の作品は何作か読んできましたが、近作は全然読んでいなかったんですよ。
これは今年の春頃出された本らしいのですが・・

あれ? 上手くなった?

と思ったのが、第一印象。
でおまけに山田悠介氏初のラブ・ファンタジーと銘打たれているものだから、気になりますよね、そりゃあね。

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読み始めは・・まず、主人公が30代の働き盛りの男っていう事にも驚きました。
最初は、この主人公悟の仕事の場面から。

仕事が順調に軌道にのり、昇進も目の前。妻との仲は冷え切り別居中だが、愛人がいる―

まるで、石田衣良さんの描く話のように、なかなか描写や設定は上手いじゃないですか。

しかし、妻が列車事故に巻き込まれ死んだ事がきっかけかのように、仕事で大きなミスを犯し左遷されてしまう。

そんな中、突然家に訪ねてきたのは生前の妻から「夫と息子をよろしく」と頼まれていたという、謎の女性だった。

突然家の中に踏み込まれ、家事のノウハウを叩き込もうとする変な女に苛立ちながらも、少しずつそのペースにはめられていく主人公。

息子に感じ始める愛情と、女性に対して湧き上がる感情・・

同時に、事故当時の状況を知ることになった主人公が、ある気になる証言を得て・・・

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どうも今までの作品のイメージが強くて、意外性が勝りました。

新境地という事もあり、ヒントというか付箋が曖昧な部分もあって、ラストで「え?!」という感じになってしまったのですが。悪くはないです。

ただ、前半は物凄くしっかり書かれているのが伝わってくるのですが、後半に行くにつれて、やや雑な印象を受けたのは気のせいでしょうか。

ともあれ、山田氏はこっちの方面でも書いてみるのもいいのでは?と思える位には、期待できそうな一作だったと思います。

初期作品に比べると、大分作家らしくなったのではないかと。

私に言われる筋合いはねえよって感じでしょうけれども。