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江利子と絶対

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引き篭もりの少女・江利子と、“絶対”と名付けられた犬のコンビが繰り広げるぬるい日常を姉の視線から描く表題作『江利子と絶対』。頭髪に問題を抱えた中年男・多田と、その隣人の帰宅を生垣に潜んで待つ女・アキ子。ふたりの悲惨な愛の姿を過剰なまでのスケールで描き出した『生垣の女』。問題児でいじめっ子の波多野君と、その手下の僕と吉見君。3人の小学生が迷い込んだ、窓のない屋敷は…。手に汗握る殺人鬼との攻防を描く、ホラー傑作『暗狩』の3編を収録。

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本谷有希子さんの本です。

なんと、本谷さん23歳当時のデビュー作だそうですね!
すげー!凄すぎる。

意外な気がしたのは、江利子と絶対の主人公(?)の江利子の姉はまともな人間だったことで(笑)
まあ江利子は相変わらず、本谷さんの描く女だなあという感じでしたけれども。

絶対って何かと思ったら、犬ですけどね。

二つ目の生垣の女は、相変わらずです・・。これは敢えてコメントしません。

で、三つ目の暗狩
これは面白かった!
というより、不気味だったと言った方が正しいか?

乙一のような、とにかく恐ろしくて、怖い!

いじめられっこの主人公が、無理矢理手下にされている上級生の男の子と同じく手下にされている同級生の男の子と三人で遊んでいる時に、偶然踏み入れてしまった家。

女の人のブーツ、爪で引っかいたような跡、何かを埋めている男、見当たらない女の姿-

その時点で、もしや・・まさか・・と思っていたら、案の定な展開なんですが。

殺人鬼(誘拐殺人犯)との奇妙な攻防戦を繰り広げる子供たちと、あくまで冷静で状況を楽しんでいる殺人鬼。

流石本谷さんというべき、情景描写の細かさと精密さが、いとも簡単にその状況を想像させてくれるのです。
それが怖いのなんの!

明らかに怪しいと思われる数々の場面と、子供達の恐怖心・・

いやあ、本谷さんミステリ系というか、サスペンスかな?こっちの話も充分描ける人だと思いました。

卑屈な女(というより、イカレタ女?)を描くのもピカイチな方ですが、それに読みなれてしまった人にはぜひこの本をお薦め致します。

凄いです!