山陰の静かな山あいの町で、九十を超えた老女・松恵が息をひきとろうとしていた。看取るのは、松恵の曾孫で絵心を持つ中学生・東真、松恵の孫に嫁いだ元OL・美代子、近所の花屋店員・史明、松恵の娘で稀な美貌を授かり持った奈緒子。四人ともかつて松恵に受け止められ、救われた過去があった―。屈託や業を抱えながらも、誰かと繋がり共に生き抜いていくことの喜びを、晩秋の美しい風景の中に力強く描き出した連作短編集。
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あさのあつこさんの本です。
気付いたらあさのさんは結構本を出しているので、逐一予約しているのですが・・人気でなかなか手元にやってこないんですよね。
ようやく読みました。
読み終えて・・結局何が言いたいんだ?
と言ってしまえばそれまでの話なのですが。
と言ってしまえばそれまでの話なのですが。
ただ、あさのさんのこういう系の話は、実はとても自分好みです。
少年の、老女の、青年の・・様々な視点から語られていく話は、特に劇的なことが起こるわけではないのに、とても深くて美しい。
あさのさんは、やっぱり少年の描写がとても上手い。
そして、色鮮やかな景色と柿の木の描写は読み手にその風景を充分に伝えてくれます。
いたって平凡な顔立ちをした父と母から、時々驚く程整った顔立ちの子どもが産まれる。
れっきとした、夫婦の子ども。
れっきとした、夫婦の子ども。
そういうことって、絶対ありますよね。
血が繋がっているはずなのに、全然似ていないなんてこと。
血が繋がっているはずなのに、全然似ていないなんてこと。
故に自分以外の相手との子どもなのではないかと疑惑を持った夫と、美しい妹に対する姉の想い―
それぞれの目線で語られる真実は、美しくて壮大でした。