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空を見上げる 古い歌を口ずさむ

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「みんなの顔が"のっぺらぼう"に見えるっていうの。誰が誰なのかもわからなくなったって…」兄さんに、会わなきゃ。二十年前に、兄が言ったんだ。姿を消す前に。「いつかお前の周りで、誰かが"のっぺらぼう"を見るようになったら呼んでほしい」と。第29回メフィスト賞受賞作。

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小路幸也さんの本です。

前回初めて読んだ21 twenty oneが凄く良かったので、他の本も読んでみようかと思い、早速図書館で借りてきました。

前から気になっていたタイトル東京バンドワゴンの作家だったことに初めて気付きました。

本作は、メフィスト賞受賞作品だそうで。

辻村さんや乾さんのイメージが凄く強くて、メフィスト賞とは言えども・・こういう作風のものもあるんだな!という驚きで一杯です。

そして、とても好きな作風だなと。

何となく漂っている終わり感(そんな言葉はないが)。

切ないような、終わりに向かっているような、でもアンハッピーエンドじゃなくて・・
っていう。


凄い好きです。
島本理生さんが好きな人とか、通じるものがあるんじゃないかなあ。


デビュー作という事もあり、若干読みにくい部分もあったのですが(話の本質に至るまでの説明というか、それが長たらしく感じた)、しかし悪くはないです。

特に、「稀人」「違い者」「解す者」の流れは、逆に真っ向からこの話を中心に書いた方がもっと面白かったのでは?と思うような話なのです。

ある日突然人の顔がのっぺらぼうに見えるようになってしまった、息子・・のお父さんの、兄の昔話(現在進行形)という感じなのですが、むしろ兄を主人公に据えて一編っていうのも読んでみたいと思わされる作品でした。

なかなか沢山本を出されている方のようで、これから少しずつ制覇していこうと思います。