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長い終わりが始まる

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大学4年生の小笠原は、マンドリンサークルに入っている。未来になんて興味がなく、就職活動よりも人間関係よりも、趣味のマンドリンに命をかけている。そして、とても好きな人がいる。いつまでも流れていく時間を描いた青春文学。

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山崎ナオコーラさんの最新作。


終わりの始まり


確か、ハチクロでこの言葉を見た時、とてもとても印象に残ったのを覚えている。
始まりなのに、終わり。
終わる事の、始まり。

インパクトがあって、何となく悲しい予感に満ちている言葉。
だけど、惹かれる。

タイトルが良い。
そして装丁も好き。

しかし・・

ナオコーラさんの描く話は、嫌いではない。
けれども、そこそこ面白かった人のセックスを笑うなとかカツラ美容室~に比べると、先日読んだ倫理と感性は~や本作がどうにも宙ぶらりんな印象を受けるのは何故なのだろう。

それは、一人称から三人称へと変わったせいも多分にあるだろう。

三人称の表現なのに、何処か一人称寄りな表現が、とても中途半端で、ナオコーラさんの良さが出し切れていない印象を受ける。

この人は物語に会話がとても多いけれど、最近の本はどうにも物語に内容が無いような・・スカスカ感が漂っている気がしてならない。

今回も、マンドリンサークルに命を懸ける主人公と、片思いしている相手との微妙な距離感っていうのは絶妙に表現されていると思う。
けれども別に、マンドリンではなくても良かったのではないか?
と思ってしまったのは私だけだろうか。

最後まで読みきっても、内容が読んでいる傍から抜けていってしまうような、そんな感じを受けた。

期待していたので、少し残念だ。

けれども、嫌いな作家ではない。
今後に期待している。

偉そうに感想を言ってみた。
お前何様だよってツッコミを受けそうですな。