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百瀬、こっちを向いて

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恋愛アンソロジー「I LOVE YOU」などで読書界を騒然とさせた話題の大型新人、初めての恋愛小説集。

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中田永一さんの本です。

私、知りませんでした!
この作家、某○一氏の覆面作家説があるんですって!
○一氏の覆面作家説といえば、山白朝子さんが有名ですが、まさかこの中田さんもですか!

山白さんのプロフィールに趣味は焚き木とあったけれど、この中田さんの本の中に、焚き木の描写が2つも出てきて(笑)

あと、○一氏の故郷とシーンが被る部分がかなりあるらしいですね。

確かに・・確かに言われて見ればこの感じは!

でも、アンソロジー「I LOVE YOU」でこの作家を見つけたときは、久々のヒットだ!と思ったので、少し嬉しいような悲しいような複雑な気分でもあります(笑)

百瀬、こっちを向いての底辺男子高生が、自分をレベル2って言っちゃうあたりとか最高なんですけど、考えてみれば・・確かに○一氏が得意とする所かもしれないなあ。

でも、覆面とかそういうのを気にせずに読んで、「あ、この人の書く話が好きだ」と思えたのだからよしとしましょう。
だから、この本が出るって聞いて凄く読みたくてたまらなかったんです。
かなり期待をしていましたが、期待通りの一冊でした。
(ぶっちゃけ、先日読んだ「ジョジョ~」よりもこっちの方が好きだ・笑)

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百瀬、こっちを向いて

なみうちぎわ

キャベツ畑に彼の声

小梅が通る

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どの話もとても好きだけど、一番って言ったら・・小梅が通るかもしれない。
めちゃくちゃ可愛らしい子が、その容姿のせいで人から嫉まれたり、親友と思っていた子から裏切られたり、人間不信になってしまい、それからは自分をブスな外見に変えてひっそりと生きていく道を選んだ。

そんな中、クラスメイトの男子ととあるきっかけから話をするようになる。

そして、普段通りの可愛らしい顔をしたままばったりとその男子と会ってしまってから、男子は「あの子は誰だ?」と詰め寄ってくる。
咄嗟に「妹」と答えた女の子。

漫画的な展開なのに、けれども最後は微笑ましくて「ありえねー」とか思いつつ、こういう男子がいたらいいなあと思わせてくれる結末です。

どの話も少し切なかったり、微笑ましかったり、驚いたり・・

山白朝子さんが黒○一ならば、中田永一さんは白○一な作風という感じでしょうか。

でも、本当は誰が書いているとしても、私は中田永一さんの描く話が好きだと思いました。
お薦めです。