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僕はパパを殺すことに決めた

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IQ135の天才少年はなぜ継母と義理の弟妹を焼き殺したのか。
背景にあった医師である父親の筆舌に尽くしがたい暴力の真相とは。

英語1の点数が20点足りない。ただそれだけの理由だった。2週間後の保護者会までに、すべてを消し去らなければ――。3000枚の捜査資料に綴られた哀しき少年の肉声を公開!
過熱する受験戦争へ警告の書!

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草薙厚子さんの本です。

るいちゃんがこの本を読んでいて、タイトルからして凄いインパクトじゃないですか。
気になって図書館で借りてきました。

この本を出したことで、本来非公開であるはずの少年法に基づく事件の調書などの漏洩が問題となり、作者の草薙さん宅への家宅捜査、情報を漏洩したとされる医師の事情聴取なども行われたとのこと。

講談社のHPにもトップで掲載されています↓
講談社HPより

しかし、恥ずかしながら・・この奈良エリート少年自宅放火事件の記憶が既に忘却の彼方にいってしまっているのは、私の記憶力のなさもさることながら、やはり続々と凶悪卑劣な事件が起こり、情報に翻弄されるうちに忘れていってしまう、という悲しい人間の性が関係しているようにも思える(単に忘れただけだが)。

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本書を読んで、警察側の批判や問題になったとされる件なんかより、何より事件の真相を少年の側、父親の側、亡くなった継母の両親の側、からと様々な視点で詳細に書かれていることで、さらに事件の内側を垣間見ることが出来て、私としてはこういう本こそ世の中に出るべきなのではないか?と思った。

本来非公開であるはずの情報が公開されてしまったことで、確かに色々問題はあるのだろう。

けれども、マスコミの情報は嘘と真実が混ざりあって、どれが真実でどれが嘘なのかが分からなくなるようなものばかりだ。
故に、このニュースを見た限りでも悪いのは放火をした長男であるようにしか思えなかった事件を、内面から追う事によって、見えてこなかった真実が少しずつ明らかになっていったではないか。

成績が悪いと言っては息子を殴る父と、強制的に勉強を「させられて」いた少年。
幼稚園の頃から高校生になるまで、将来は医者になる事が当たり前という環境で育ってきた少年は、果たして100%悪いのだろうか?

・・いや、私が読む限り、諸悪の根源はこの父親に他ならないと思える。
いや、父親の両親の教育からなのか・・。
決して出来の悪いわけではない子供に、過剰に期待して成果を出せなければ暴力を奮う―

同級生からは慕われていて、友達も多かったというこの少年の全てをゆがませたのはやはりこの父親の存在が大きいのではないかと思う。

そして少年がこのような事件を起こしても尚、父親は何も分かっていないということが悲しい。


物議を醸し出した本ではあるようですが、読んで得るものは大きかったと、私は思います。