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理由

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事件はなぜ起こったか。殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者であったのか―。東京荒川区超高層マンションで凄惨な殺人事件が起きた。室内には中年男女と老女の惨殺体。そして、ベランダから転落した若い男。ところが、四人の死者は、そこに住んでいるはずの家族ではなかった…。ドキュメンタリー的手法で現代社会ならではの悲劇を浮き彫りにする、直木賞受賞作。

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宮部みゆきさんの本です。

流石直木賞受賞作だ、と言える力作長編でありました。
読むのに3日かかりましたが。

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未だかつて、こんな風に展開していく小説があっただろうか?

とある超高層マンションでの殺人事件に関わった人物、一人一人にインタビューをするような形で、それはまるでドキュメンタリーを見ているような、不思議な感覚で読み終えた。

人というのは、色々な面から見るからこそ興味深いものだと思う。
例えば今作では、マスコミ側から見れば「犯人」である人物は、家族から見れば「父」であり、そして当然の如く家庭での顔と仕事での顔は別物なのである。

まず、事件からしてとても興味深いのが、小糸一家が殺されたと思われていたところが、少しずつ明らかになっていき、実は小糸一家の主である人物以外は、全くの他人だったという事だ。

事件の全容と、容疑者、真犯人、事件に関わった人物・・と実に様々な人間が登場するのだが、その人それぞれに悩みや生活というものがあるという事が何だかやけにリアルだった。

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私としては、やはり模倣犯みたいな展開が好きなのだが、宮部さんの描く少年少女がとても良い。

大人でもなく、子どもでもない・・そんな微妙な年頃の年代を丁寧に描いていて、そして物語にピリリと利いたスパイスを与えてくれる、そんな感覚。

うーん、上手く言えない。言葉が足りなくて。

でも、この本を読んだら「直木賞受賞作」であることに納得できるはず。