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走ル

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物置で発掘した緑のビアンキ。その自転車で学校に行った僕は、そのまま授業をさぼって北へと走るが……「21世紀日本版『オン・ザ・ロード』」(読売新聞)と評された、文藝賞作家の青春小説!

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羽田圭介さんの本です。

最近話題になっている本作。日曜版の新聞の本のコーナーにも載っていました。
何度か買おうと思ってはやめ、しかし気になったのでサイン本があるうちにと結局買ってしまいました。

結構色々なところでサイン本を見かけるので、ぜひ。

ああ、そういえば、この作家さん。

1985年生まれなんですよ!

私は1984年生まれですが、早生まれなので・・年下ですね。
ああ、ついに年下です。

自分の好きな文芸賞作家なのですが、17歳の時の作品でデビューしているようで。
それは綿矢さんとも一緒ですが、綿矢さんは同い年なのでね。
やっぱり年下かと思うと、悔しい気持ちで一杯になります。

読んだ感じとしては、読みやすいのは勿論ですが・・若者の視点で書く高校生はこんな感じなんだなあという感心もあったりしました。

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自転車で、衝動的に北へと走ってしまうイメージのいわゆる自分探しの旅というだけの話とは、また全然違う気がするんです。

自分探しの旅といえば、ハチクロの竹本が浮かびますが(笑)・・あれとは今作は全然(とは言い切れないけれども)違う感じです。

何しろ、ほとんど他人と話す事もないまま、しかも部活の途中で衝動的に北へと自転車を漕ぎ出してしまう主人公は、彼女にも家族にも、恋人にも今何処にいて、何をしているかという事を言おうとしないのです。

「風邪を引いて寝込んでいる」などと嘘をつき続けながら、携帯メールや電話だけで数百キロ離れた友人達と連絡を取りながら、実際にはどんどん日本を北上している主人公。

これが、現代の若者の姿なんだろうか・・?と思われるほど、淡白でいて、そして衝動的であって、なんて青々しいのでしょう。


ただ、自転車をひたすら漕いで東京→埼玉→茨城→栃木→福島→山形→秋田→青森→岩手と県を越えていく過程が描かれているというだけなのだけれど、何故か読んでいて主人公の姿が眩しく感じられてしまうのは、やっぱり歳を取ったという事なのでしょうか。

個人的に、比較的私の住む場所寄りの、埼玉の栗橋や幸手渡良瀬遊水地、宇都宮なんていう地名が出てきたのが面白かったです。