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鼓笛隊の襲来

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戦後最大規模の鼓笛隊が襲い来る夜を、義母とすごすことになった園子の一家。避難もせず、防音スタジオも持たないが、果たして無事にのりきることができるのか―(「鼓笛隊の襲来」)。眩いほどに不安定で鮮やかな世界をみせつける、三崎マジック全9編。『となり町戦争』の著者、1年4ヶ月ぶり待望の新刊。

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三崎亜記さんの新刊です。
サイン本でゲットしました。横浜の有隣堂でゲットしたのですが、恵比寿とか新宿でもサイン本を見かけますので今のうちにぜひゲットして下さい。

やっぱり三崎さんの短編は、秀逸ですね。
どれもこれも、突拍子もない設定なんだけど、何故か三崎さんの手にかかればそれがあたかも本当にこの世に存在しているかのように錯覚してしまう。
すんなりと、ぴったりとその枠にはまる感じ。

そして、三崎さんの得意とする(?)戦争失われるというテーマが、物語全体に何ともいいようのない寂しさと、虚無感、いや終わりの気配に包まれている感覚になるのです。

私は、好きなんですよね。
こういう感覚。

三崎さんと言えば、「となり町戦争」が代表作ですが・・となり町~を読んで「この人とは合わない」と思った人は結構いるんじゃないでしょうか?
だとしたら、物凄く勿体無い。
私もとなり町戦争で合わないと思った人間ですが、次に読んだ短編集バス・ジャックでそんな思いが吹き飛んでしまったのです。

そして今作も、期待を裏切らない仕上がり。
短編の一つ一つが、不思議で、一歩間違えたらホラーになりかねない話なのに、何処か寂しげで切なくて、怖いような、悲しいような、何とも言えない余韻が残る話ばかりでした。


短編の中の一つ、突起型選択装置の、ボタンのある女のボタンを押したらどうなってしまうのかが個人的にとても気になります。