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模倣犯(五)

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真犯人Xは生きている――。網川は、高井は栗橋の共犯者ではなく、むしろ巻き込まれた被害者だと主張して、「栗橋主犯・高井従犯」説に拠る滋子に反論し、一躍マスコミの寵児となった。由美子はそんな網川に精神的に依存し、兄の無実を信じ共闘していたが、その希望が潰えた時、身を投げた――。真犯人は一体誰なのか? あらゆる邪悪な欲望を映し出した犯罪劇、深い余韻を残して遂に閉幕!

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宮部みゆきさんの模倣犯・最終巻です。

総ページ数、3,500枚強!
1巻から5巻まで、それぞれ500枚近いページ数なので結構なボリュームです。

正直言って、読み終わるまでに二週間位かかるかな?と思ってました。

が、しかし・・

一日一冊の勢いで読んでました。
気付いたら、というより・・続きが気になって気になって、どうしても読まずにはいられなかったのです。

本当に面白い!
絶対読んで欲しいです。

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無残に殺された大事な孫娘――遺族である老人
自身も家族を殺され、自分だけが生き残ってしまったという負い目を持ち、この殺人事件の始まりである片腕の発見者となってしまった――男子高校生
自分の育った環境に嫌気がさし、その全てを満たしている相手に惹かれながら殺人に手を染めていく男――犯人
ひょんなことから、事件について執筆することになった女――ルポライター
幼馴染が、犯人なのではないか?と感づき、犯罪を止めようとしたが、思いもしない所で犯人と思われてしまう男――犯人or加害者?
無実を主張しながらも、犯罪者の家族として世間の荒波にもまれてしまう女――加害者の遺族

そして、真の犯人でありながら最後まで自分の書いたシナリオを演出し続ける――犯人


更に、そこに警察という立場が加わり・・かなり沢山の登場人物が出てくるというのに、混乱するどころか、物語に厚みを増してくれるのです。

殺人事件が引き起こした、様々な立場から見た事件の爪あと。


最後の最後で、ようやく真犯人が世間に知れた瞬間――思わず読み手である私がほっとしてしまうくらいでした。


犯人は、最初の段階(2巻で)から分かっていると言ってもいいのに。
なのに、面白い。

犯人が分かっている話なのに、面白い。

こんな小説、なかなかないでしょう。

宮部さん、凄すぎます。