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模倣犯(四)

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特捜本部は栗橋・高井を犯人と認める記者会見を開き、前畑滋子は事件のルポを雑誌に連載しはじめた。今や最大の焦点は、二人が女性たちを拉致監禁し殺害したアジトの発見にあった。そんな折、高井の妹・由美子は滋子に会って、「兄さんは無実です」と訴えた。さらに、二人の同級生・網川浩一がマスコミに登場、由美子の後見人として注目を集めた――。終結したはずの事件が、再び動き出す。

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宮部みゆきさんの模倣犯・第四巻です。

眠いのを承知で・・しかし気になってきになって、結局一日で読みきってしまいました。

四巻では、
第一章で登場していた、高井和明の妹・由美子が再び登場するのですが・・


犯人の妹となってしまった由美子の、そのあまりの変貌ぶりにただただ驚かされました。

優しいけれど、冴えない兄に対して思っていたうとましさと、それに反して兄を慕う気持ちを持った、働き者の妹。
明るくて、はきはきしていて、なかなか好感の持てる妹という印象でした。


しかし、犯人の身内であるというだけで、世間から冷たい視線で観られるようになり、それから逃げるようになると日々おびえながら暮らす事になる。

明るかった由美子が、ビクビクし人の多い所に出るのを恐れている・・

この変貌ぶりこそが、事件の本当の恐ろしさなのではないでしょうか。


そして、真犯人であるピースが意外なところから登場するのです。

由美子はピースを信じ、慕い・・そして事件は「真犯人は別にいる」というピースの主張を受け入れていくようになる。

それは故に、ピースが犯人の捜査網から完全に外れる事を意味している――

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犯人を分かっている読者としては、悔しくてたまりません。
もしかしたら最後まで犯人がわからないのではないか・・そんな予感の中で、いよいよ最後の五巻です。