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イニシエーション・ラブ

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大学4年の僕(たっくん)が彼女(マユ)に出会ったのは、代打出場の合コンの席。
やがて二人は付き合うようになり、夏休み、クリスマス、学生時代最後の年を共に過ごした。
マユたのために東京の大企業を蹴って地元静岡の会社に就職したたっくん。
ところがいきなり、東京勤務を命じられてしまう。
週末だけの長距離恋愛になってしまい、いつしかふたりに隙間が生じていって―

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乾くるみさんの本です。

日曜日の新聞に、本の紹介があるんですよ。
それでこの本が発行から売れに売れ続けている・・更に、普通の恋愛小説だと思って読んだら、最後に大どんでん返しが待っている!

というような書評だったので、うわー気になるな!これ!
と思い、すぐに文庫を買いに本屋に行ったら、田舎なのか分かりませんが売っていなくて。

という訳で、図書館で予約していたらようやく手元に。

で、読み終わったのですが。

「????」

疑問と消化不良感しか残らなかったのです。

ただの二股男の恋愛話じゃんかよ!

などと思った位、私は全くこの巧妙なトリックに気付かなかったのです・・。

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本書は、Side-AとBに分かれていて、大学時代の「たっくん」の「マユ」との出会いから(Side-A)、社会人になった二人のその後(Side-B)が描かれています。

これは、単純に人間の心理的にもAからBと読むのが普通ですよね。
当然、時間の流れとしてもAからBの順に経過しているのだと思うのが普通。

そこで、その流れに逆らうことなく、読み終えて「ん?」と思ったのが、最後の二ページ。

どう考えてもSide-Aではなかったはずの描写が語られているのです。
そして、「たっくん」の正体が判明する最後から二行目・・・

どうにも私には理解が出来ず、ネットで検索。

すると・・ネタバレ書評が沢山あったので、読んでみてようやくこの物語のトリックに気付いたのでした。

だから、「二度読む事をお薦めします」と謳われていたわけですね。

ああ、でも。
やっぱりもう1回読まないと理解出来ないです。
これは文庫を買おうと思います。


それにしても、時代設定がかなり古いのに驚きました。
携帯のない時代らしく、家電だし。
男女七人夏物語とか、JRに呼び名が変わったばかり、とか。

普通に読んでいる分には、全然古臭さを感じないので、そういう描写(芸能人の名前とか)が少し残念だったかも。

それと、この作家さん。男性らしいですね。びっくり!
そしてメフィスト賞作家なんですって!

辻村深月さんの作風がかなり気に入ったのですが、どうやらメフィスト賞作家はこういう傾向ってことが分かりました。
他にも色々読んでみようと思います。
あと、この乾さんの本も。