No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

カツラ美容室別室

イメージ 1

こんな感じは、恋の始まりに似ている。しかし、きっと、実際は違う。カツラをかぶる店長・桂孝蔵の美容院を舞台に淳之介とエリ、梅田さんたちの交流を描く各紙絶賛の最新作。

---

山崎ナオコーラさんの本です。
話題の芥川賞候補作でしたね。

結構前に図書館で予約していたのですが、ようやく読めました。

・・最近長編小説とか、有名作家の本を読んでいたせいでしょうか。
今作がやけに薄っぺらく感じられたのは何でしょう?

芥川賞って、こういう本がノミネートされるものなんでしたっけ?
ナオコーラさんの本は、嫌いじゃない(むしろ結構好きだけど)のですが、最近読んでいた本との差が歴然としていて、自分の感覚がおかしくなったのかもしれません。

例えば、最近読んでいた本が文字でページがびっしり、とか二段構成だったりしたのですね。
そのせいか、会話だけがつらつらと続くシーンが多くて、余白の多さに改めて驚いてしまったり(全然違う視点なんだけど)。

あと単純に、そんな動作まで細かく書かなくても読んでいて分かるのに・・
というような部分が結構あった気がするのです。

でも・・私が書きたい小説も、こういう感覚、主人公の語りなんだよなあと思うと、ある意味で自分はまだまだだなあと気付いたりして(読み手の側はこういう風に捉えるのか、みたいなのが分かったというか)。


それでも、冒頭の文章は何かが始まる予感がたっぷりと感じられて、好きです。


「桂美容室別室」の店長、桂孝蔵は、他人の髪の毛を懸命にカットしているが、自分自身はカツラをかぶっている。あまりにもはっきりとカツラだとわかるカツラなので、「美容師なのに『カツラ』というのを売りにして商売をしているのではないか?と客たちは思う。



カツラの美容師は、名前までカツラなんですよ!
どんな奇人かと思わせておいて、しかし物凄く真っ当で素敵な店長なんですが、その美容師に勤めるエリが気になっている「オレ」から見た視点で書かれている本作。

人のセックスを笑うなのように、恋でもなく、浮世でランチのように仕事や食べ物の話でもなく、友情の話とでもいいましょうか。

ともかく、このカツラさんがいい味出してますとだけ言っておきましょう。
結局文句を言いつつも、ナオコーラさんの本は結構好きなのです。