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大延長

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初出場でありながら、大会屈指の好投手を擁して勝ち上がった、新潟の公立進学校・新潟海浜。甲子園の常連で、破壊的な打撃力を誇る、東京の私立・恒正学園。両校間で行われた夏の全国高等学校野球選手権大会・決勝戦は、延長15回の熱闘に決着がつかず、優勝決定は翌日の再試合に持ち越された。監督は大学時代のバッテリー同士で、海浜のエースとキャプテン、恒正の四番バッターは、リトルリーグのチームメート。甲子園球場に出現した奇跡の大舞台で、互いの手の内を知り尽くしたライバルたちの人生が交差する。エースの負傷欠場、主力選手の喫煙発覚など、予期せぬ事態に翻弄されながらも“終わらない夏”に決着をつけるため、死闘を続ける男たちの真摯な姿、<甲子園優勝>をとりまく数多の欲望の行方を俊英が迫力の筆致で描く、高校野球小説の最高傑作!

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堂場瞬一さんの本です。

初めて読んだ作家さんです。タイトルからして、本屋で見かける度にずっと気になっていた本でした。
地元の図書館で発見して、早速借りてみました。

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私は、甲子園が好きだ。

高校球児達の、真っ直ぐな視線。最後の最後までわからない試合展開、夏の日差し、球児達の汗、応援席の熱狂。

一度も生で見た事はない。

けれども、高校の夏休みだっただろうか。
夏休み中に、何となくつけていたテレビから伝わってくるあの熱気に私はすぐに釘付けになった。

9回の表、相手チームに絶対に勝ち目はないだろうと思われた試合展開。
しかし次の瞬間、逆転サヨナラホームランで試合は突然ひっくり返るのだ。

そして、時々延長戦にもつれこむ。
互いのチームに点が入らず、日が暮れるグラウンドにみなぎる緊張感。

疲労感を滲ませた選手と、それを見守る観客、そしてテレビの前で手に汗握る展開を見守る自分と。


この本は、そんな気持ちを思い起こさせるような一冊だった。

ああ、あの甲子園のあの感じだ。
そして延長戦にもつれこんだ時のあの緊張感。

一瞬たりとも見逃せない。
試合はいつどこでどうなるのかが予測出来ない。

それが、甲子園というものなのだ。

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物語は、数人の目線で語られていく。


互いの高校の監督の立場から。
一方は激戦区の東京を勝ち進んできた甲子園出場の常連校。もう一方は、新潟勢としても、初めての甲子園出場校。

全てを生徒の判断に委ねている海浜高校の監督、羽場。
生徒を思い通りに動かしたいと思っている、恒正高校の監督、白井。


互いのエースの立場から。
元々はチームメイトとして一緒に野球をやっていた仲間であった二人。
海浜高校のピッチャー、牛木。膝に故障を抱えているが、今大会随一のエースピッチャー。
恒正高校のバッター、久保。自分中心な考えの持ち主ではあるが、確実に力のあるバッター。


そして、羽場と白井の元監督でもあった、甲子園での解説を担当している滝本。


一つ残念だったのが、あまりにも数人の人の目線で語られているせいで、読者が展開についていけなくなりそうになることでしょうか。

唐突に別の語り手にうつってしまうので、序盤がなかなか慣れなくて読みにくい部分もありました。

けれども、甲子園が大好きな人にはぜひとも読んで欲しい一冊です。