懐かしいあの日々、温かな友情、ゆっくりと育む恋―僕は、守り続けなきゃならない。『100回泣くこと』の中村航が贈る、静かで優しい物語。
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今回は、短編です。
あなたがここにいて欲しい 男子五編 ハミングライフ
あと、表題作のあなたがここに~もなかなかよかったです。
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あなたがここにいて欲しい
高校になって、小田原の学校に通い、象を見ながらアンパンを食べる日常。
小学校の頃から親しかった又野君との思い出。
又野君は不良だけど、いいヤツだった。
そんな又野君の行くところなら、何処へでもいけると思っていた。
大学生になった吉田君は、あるときふっと小田原へと足を運ぶ。
又野君に会いに行ったのだが、象がまだ存在しているのかが気になり結局動物園に行った。
又野君に会いに行ったのだが、象がまだ存在しているのかが気になり結局動物園に行った。
象は、確かに存在していた。
その確かな存在感に圧倒されつつも、妙な安心感に包まれる。
結局又野君は既に引越をしてしまったらしく、会えなかったのだが・・ある時突然又野君から連絡が来る。
不良で、高校に進学しつつも退学していまった又野君は、すし屋の店主として、更に結婚をし、子供も生まれる予定なのだという。
そんな又野君の成長に感動し、吉田君はゼミで親しくしている舞子さんを誘ってまたこの店に来ようと思うのだった-
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と、あらすじを書いてみると何てことない話のようなのですが・・
恋愛というより、又野君との友情をメインに読んでいただけると、なんとも素敵な余韻が残る作品です。
恋愛というより、又野君との友情をメインに読んでいただけると、なんとも素敵な余韻が残る作品です。
あと、舞子さんとのやりとりでこんなのが。
「もう一回言ってもいいですか?」 「何を?」 「舞子さんが好きです」
良い!
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バイトのお昼休み。
公園の木に、ぽっかり空いた洞があるのに気付く。
公園の木に、ぽっかり空いた洞があるのに気付く。
そこには、野良猫もいる。
それから毎日のように、猫に牛乳をやるのが習慣になった。
ある時、洞の中に何かメモが入っている事に気付く。
猫の絵。
あんまり可愛くて持ち帰ってしまった女の子。
翌日も、別のメモが入っていた。
翌日も、別のメモが入っていた。
思い切って言葉を書き、再び洞の中にしまう。
それから、見知らぬ人とのウロレターのやりとりが始まった-
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天然パーマの男の子と、雑貨屋さんでバイトをする女の子の奇妙な出会い。
まず、『ウロレター』ってネーミングが良いよね!
あと、後半の確信犯的なやりとりがたまらなく良い。
あ~中村さん、なんて女心を鷲掴むんですか!笑
これは、中村作品の中でも一番好きです。
こんな恋愛をしてみたいと強く思う一作でございます。
こんな恋愛をしてみたいと強く思う一作でございます。