No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

真夜中の五分前 side-B

イメージ 1

「砂漠で毛布を売らないか」IT企業の社長・野毛さんに誘われるまま会社を移った僕は、バイトと二人きりの職場で新しく働き始める。仕事は、客入りの悪い飲食店を生まれ変わらせること。単なる偶然か実力か、僕の仕事はすぐに軌道に乗り、業界では隠れた有名人となる。ある日、本当に久しぶりに尾崎さんから電話が入った。もう二度と会うまいと決めていたのに―。再会した尾崎さんは、「頼みがあるんだ」と、信じられない話を切りだした-

---

本多孝好さんの本です。
今年101冊目の読破した本。

いやいや、面白かった。
side-Aで充分気になる感じで終わったので、続きも気になってさくさく読めました。

以下ネタバレですので、読む予定のある方は読まないように!

---

side-Aからは、数年後の話。
転職をした僕は暇な会社ではあるが、任された仕事が偶然にも上手くいき、軌道に乗ったせいで、そこそこ有名になっていた。

そんな時、久しぶりに連絡のあったゆかりの夫である尾崎さんと会うことになった。

そして彼は、「ゆかりと会ってくれないか?」という提案をしてきたのだった。

一年半前、外国で起こった列車事故にたった3%の確立でかすみは巻き込まれた。

双子のかすみとゆかりが一緒に旅行に行ったその先で、ゆかりは負傷しつつも一命をとりとめ、かすみは死んでしまった。


そのこともあり、ゆかりとも尾崎さんとも会わずにすごしてきたのだが・・尾崎さんに残る、どす黒い不安。

彼女は本当に「ゆかり」なのか?それともゆかりと名乗っているだけの「かすみ」なのではないのか?

驚く程よく似ている二人を、正確に判断する術がない。
だからこそ、かすみの恋人であった僕にその明確な答えを導いて欲しかったのか・・尾崎さんはそんな提案をしたのだった。

僕にとっても、かすみがずっと愛していた尾崎さんと一緒になれるチャンスなのだ。かすみが嘘をつき、ゆかりと名乗っているだけなのかもしれない。
そもそも、本当にかすみは僕を愛していたのだろうか?

二人の男の中で、沸き起こる不安。


僕はゆかりに会ったが、果たしてそれが本当のゆかりなのかは分からない。

そして、彼女も言う。

「ねえ、教えて。私は誰?」

---

時計を5分遅らせる習慣を作ったきっかけの元恋人の瑞穂との思い出も、ここでようやく清算されます。
ようやく泣くことが出来た主人公を見て、なんだかほっとしたり。

それにしても、当の双子の片割れの本人ですらも自分が誰か分からなくなるなんていうことがあるのでしょうか?

私の友達にも双子がいますが、一卵性だけれど、やっぱりそれぞれ顔が少しばかり違っているんだよね。
絶対間違えないって思うくらいの違いは必ずある。

でも、本当に似ている双子だったら親ですらも気付かないのかなあ。
それってちょっと悲しいですね。

結局この彼女は、ゆかりだったのか、かすみだったのか・・

僕が最後に下した決断は、果たしてよかったのでしょうか?

読後のこの感じ・・良いです。