小さな広告代理店に勤める僕は、学生時代に事故で失った恋人の習慣だった「五分遅れの目覚まし時計」を今も使っている。その五分ぶん、僕は社会や他人とズレて生きているようだ。そんな折り、一卵性双生児の片割れ「かすみ」と出会う。かすみは、双子であるが故の悩みと、失恋の痛手を抱えていた。かすみの相談に乗り、彼女を支えているうち、お互いの欠落した穴を埋め合うように、僕とかすみは次第に親密になっていく―。
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本多孝好さんの本です。
文庫化されていたので、文庫で買おうか迷っていたのですが・・図書館で予約してようやく読むことができました。
私はてっきり、サイドAが男の人の語りでサイドBは、彼女の語りなのだと思ってました。
一緒に予約したSide-Bをパラパラと見たら、どうやら同じ主人公の続編のような感じ?みたい。
一緒に予約したSide-Bをパラパラと見たら、どうやら同じ主人公の続編のような感じ?みたい。
明日はBを読みます。
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僕は、20歳の時に19歳だった彼女を亡くしている。
彼女を亡くした直後、「荒れた」状態だったと周囲は言うのだが、彼女の7回忌の知らせが彼女の父親から届き、ふいにあの頃の事を思い出す。
それでも、彼女を亡くした事で不思議となんともないという状態が続いている事にずっと戸惑いを覚えていた。
彼女の命日を思い出して泣くことや、残された自分自身の悲しみに泣くこともなく、ただ日々誰か女性と付き合ったり、仕事先での上司との関係などに埋もれながら毎日を過ごしていたのだが・・
ある日、プールで泳ぐ一人の女性かすみを見かける。
何度か顔を見たことはあったし、偶然に声をかけるタイミングが生まれた。
何度か顔を見たことはあったし、偶然に声をかけるタイミングが生まれた。
すると、どちらかともなく声をかけ、いつしか親しくなっていく。
彼女は、一卵性双生児の双子であり、その片割れのゆかりとは区別がつかないほどによく似ている。
少しずつ僕は彼女に惹かれて行くが、婚約した彼女の双子の片割れのゆかりと婚約者の尾崎さんと一緒に会ったとき、奇妙な違和感に気付く。
彼女の本心とは・・そして、僕にとって「愛」というのは何なのだろうか?
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不思議な余韻が残りました。
死んだ彼女が時計を5分遅らせている、という設定はなかなか興味深かったのですが、実際それについて出てくるのは最初と最後にちょこっとだけ。
Side-Bでうまくその話が発展されていくのでしょうか?
それと、昨今の純愛系小説では、恋人の死=立ち直れない程の傷を負うというのが普通でありメジャーなんだろうが、今作は違う。
どうにも主人公がクールなのだ。
そして、主人公自体、自分があまりにも「なんともない」という事実に動揺し、何かを諦めている様は逆に読んでいて痛かったりする。
さて、Side-Bではどんな話の展開になるのやら。
気になります。
気になります。
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あ、これ・・気付けば・・
念願の100冊達成です。
嬉しい!
嬉しい!
年内にあと何冊読めるだろう?