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銀の犬

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この世に想いを残す魂を解き放つ、伝説の祓いの楽人(バルド)-オシアン。声を失った楽人オシアンとその相棒ブランの物語。ケルトの民話・伝説に登場する妖精や妖魔が次々と現れる不思議で切ない愛の物語。

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光原百合さんの本です。

光原さんの本は、十八の夏以来。
この本は、久々に自分の中でヒットした作品だったのですが・・それからご無沙汰していたのです。

図書館でたまたま発見して、全然期待せずに読みました。

読み始めて、登場人物達がカタカナ!であることに気付き、外国モノとかファンタジーモノがかなり苦手な私は・・「ダメかも・・」と思いながら読んでいたのであります。

が、しかし!


面白かった!!



予想に反して、いや、やはり光原さんというべきか。

ダヴィンチの短編集の中に、やはりカタカナの登場人物達が出る不思議な話があったのですが。
ほどよくミステリ風な仕上がりに大満足。

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今回も、そんな不思議な話。


この世に未練や強い気持ちを残し、亡くなった者はその地に魂のみで漂う存在となり、時に人に害を与える。

そんな迷える魂を、行くべき場所に送る役目を果たすのが、祓いの楽人(バルド)と呼ばれる定められた者。

祓いのバルドが爪弾く堅琴の調べは、何処か優しく人々をうっとりさせる。
また、妖魔達の力を弱めたりすることが出来、迷える魂を解き放ち役目を果たすのだ。

その選ばれしバルド・オシアンは声を失っている。
それでも、オシアンの奏でる堅琴の音と相棒・ブランは様々な場所で、迷える魂を送り出す。


修行をしても決して選ばれし者以外はなれないと言われる祓いのバルドは、決して金銭を受け取らない。
欲に目がくらんだ時、祓いのバルドにとって命と同じように大切な音楽を失う。
歌を歌うものは、歌えなくなり、楽器を爪弾くこともできなくなる・・

一方、同じく呪い師である獣使いのヒューは、それを生業とし金銭を取り生活をしている。

商売敵である獣使いと祓いのバルド。

双方が協力して迷える魂を送る役目を果たす事に。


どんな姿にも変身し、人間・馬など動物や人の姿になり子を産める性を持つものを虜にするガンコナーという妖精。
ある人間との間に淡い想いがともり・・

また、獣使いのヒューの実の兄である同じく獣使いのジョー。
旅先で偶然に出会った婚約者のいる娘に恋をしてしまったのだが・・

今日もまた、祓いのバルドの美しく、時に悲しい旋律がさ迷える魂を導いていく-

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この祓いのバルドと相棒の間、または何故祓いのバルドになったのか、声を失ったのか?などという、若干気になる点が沢山あって、最後の話の中で謎が解き明かされるのか?と期待していたが、結局明かされていない。

でも、作者のあとがきに続編を書きたいみたいなことが書かれていたので、ぜひとも続編を希望したい。

それにしても物語の展開が、悲恋ばかりで切ない。

すれ違う想いこそ悲しいものはないですね。

個人的に、獣使いのヒューは好きでした。

ぜひ続編を書いて欲しいと思う、お気に入りの一冊になりました。