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スワロウテイル

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むかしむかし、が世界で一番強かった頃、いつかのゴールドラッシュのようなその街を、移民たちは円都(イェンタウン)と呼んだ。
でも日本人はこの名前を忌み嫌い、逆に移民たちを円盗(イェンタウン)と呼んで蔑んだ。
ここは、円の都、イェンタウン。
円で夢が叶う、夢の都。・・そしてこれは、円を掘りにイェンタウンにやって来た、イェンタウンたちの物語。

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1996年
監督:岩井俊二
出演:三上博史/CHARA/伊藤歩/江口洋介/桃井かおり/山口智子/渡部篤郎 他
音楽:小林武史
 

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1996年というと・・今から何年前?
軽く10年以上前か。

とすると自分は、13歳。
確かに中学の頃、YENTOWNBANDの「あいのうた」が売れていた記憶はある。

でも、まだ岩井俊二を知らなかったんだなあ。
中2だもんな(早生まれなので)。

岩井さんの作品を初めて知ったのは、それから4年後の17歳・高3の時のリリィ・シュシュのすべてでした。

それから、過去の岩井作品を見てみたくて・・でも「LOVE LETTER」しか見たことがなくて、この映画もずっと観てみたかったのです。

mixiで仲良くなった方が、夜のピクニックを観たいと言っていたので、貸しますか?と言ったら、逆にこれを貸してくださりました。

ありがとうございます!

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娼婦だった母を失い、孤児となった少女は身勝手な大人達に振り回され、同じく娼婦であるグリコの元に預けられた。

名前のない少女に、グリコはアゲハという名前を与える。

仲間達と共に、生活を始めたアゲハだったが、ある日仲間が偽札を作るデータを手に入れる。
千円札にそのデータを読み込むと、一万円として機械が処理し、両替機にかけるとたちまち九千円の儲けとなった。

いつしか円都を離れたグリコとアゲハ、グリコの恋人のヒョウはライブハウスを買い取り、グリコをボーカルとしたYEN TOWN BANDを結成し、ライブは連日盛況する。

そして、グリコを気に入ったレコード会社の人間がデビューの話を持ってくる。

グリコがデビューし、CDのリリースをするとたちまち完売する人気を博す。

しかし、少しずつ前の生活は崩れ始めていき・・

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アゲハを演じる伊藤歩が上手いです。
新人賞をとったのも納得。

しかし、90年代ということもありこんなに眉毛が太いのね!という訳で。
リリィの時の伊藤さんとはまた全然違います。
初々しいというのもあるし。


アゲハとグリコとヒョウの話と、グリコの兄達の謎の組織、アゲハとつるむ少年たち・・

それぞれ別々に動いていたと思われた話が、最後に繋がる。
あの組織が追うマイウェイのテープは、一体何だったんだろう?

と分からぬまま終わってしまった。

それにしても、最終的に警察に捕まり白状するまでボコボコに殴られて死んでしまったヒョウが痛すぎる。

一時は夢を見ているかのような現実だったのに、最後は地獄を見て終わるなんて・・とても悲しかった。

グリコの胸にあるチョウのタトゥと同じ場所に彫ったアゲハのアゲハ蝶のタトゥ。

最後は何だか、不思議な余韻の残る映画でした。


ただ・・私が何より嫌いなのは、女の人への性的暴力シーンと、人を暴行するリンチシーンなのです。

だから・・最後の警察のボコボコ殴りまくっているのは、本当にどうかと思った。
あれがなければもっと良かったけど、あれがないと物語は終わらなかったのかも・・

でも、同じ痛みならば、リリィの方が何度も観たくなる映画かも。

ちょっと難しい映画でもありました。

あ、でもアヘンでいかれた人間が動物の内臓を切り刻んでいるのとか、人の体内からカセットテープを取り出すのとかは・・グロイと思いつつ、普通に見てる自分。

リンチシーンの方が、生々しくてダメなんだよね。何でだろう・・ああ、夢にみそう。。


あと、桃井かおりの自然体演技は、良かったです。個人的に。