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うつくしい子ども

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緑豊かなニュータウンを騒然とさせた九歳の少女の殺人事件。犯人として補導されたのは、ぼくの十三歳の弟だった!崩壊する家族、変質する地域社会、沈黙を守る学校…。殺人者のこころの深部と真実を求めて、十四歳の兄は調査を始める。少年の孤独な闘いと成長を痛ましくもみずみずしく描く、感動のミステリー。

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石田衣良さんの本です。

先週は図書館で借りた本を全て読み終えてしまったのですが、借りに行く時間がなくて・・
ずっと買ってあったのに読まずにいた石田さんの本を読んでみました。

すると・・これはかなり引き込まれた!

内容的に面白いとか言っては不謹慎な感じではありますが・・考えさせられたし、続きが気になって気になって。

久々に読み応えのある作品でした。

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緑溢れる研究都市を震撼させた、九歳の少女の猟奇的殺人事件。

街は警戒を強め、人々は溢れる情報に呑み込まれ混乱していく。

その街に住む、ミキオは顔がにきびだらけであることからジャガと呼ばれている中学2年生。

その殺人事件のことも、他人事のように感じていたのだが・・ある日、朝食を食べている一家団欒中に警察が家を訪ねてくる。

なんと、犯人は弟のカズシだという。

被害者の女の子と友達だった、チャイルドモデルをしている妹のミズハ。
ミズハを可愛がる母、研究者の父。

平和だった家族は、突如加害者の家族になる。

執拗な嫌がらせ、罵倒、人権を無視したマスコミの過大報道、全く無関係だったミキオやミズハにもそのとばっちりがやってくる。

ミズハは学校を変え、父と母は止むをえず離婚、それでもミキオは学校を辞めずに通い続ける。

小さな嫌がらせは、どんどんエスカレートする。

ばら撒かれるビラ、生徒も先生も事件を話題に出すことはなく、一様に無視を決め込む・・

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一方、入社3年目の新聞記者、山崎はこの殺人事件を追っていた。

偶然知り合ったミキオの実の弟が犯人であると知るが、ミキオ側の気持ちを理解する山崎。

やがて独自に事件を追っていくミキオから、事件の真実を聞く事になる。

それは、他社には知られていないスクープだ。

仕事を取るのか、子どもたちをとるのか・・

決断を迫られた山崎は・・

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無関係だと思っていた事件。

思いがけず加害者の側に立たされることになった少年、ミキオの強さと殺害をした本人ではないのに、家族というだけでこんなにも嫌がらせの対象になってしまうということが・・痛かった。

13歳の弟は、刑法上罰せられることもせず、少年院にも入らない。

その軽い罰と、名門校故に加害者の兄をこのまま学校に通わせることに対するPTAの批判。
嫌がらせをする生徒。。

弟の関連記事を調べたり、読んでいた本の履歴などを調べていくうちに、意外な人物が関連していることが分かるのだが・・更にミキオに協力していた友人達にまで嫌がらせが広がっていく。

それでも負けないミキオの強さと、世間一般的には被害者の側からしか見ることが出来なかった部分を、この本で見せ付けられた気がします。

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中学生の時。

酒鬼薔薇事件が起こって。

自分と同い年の加害者にびっくりした。

きっとあの時も、加害者側の家族にはこんな風な仕打ちが待っていたのであろう。

でも、世間一般的に多分加害者側から被害を考える人はとても少ない。

もし自分が加害者の側になったら・・・と思うと、ぞっとする。