大学を辞め、時に取り残されたような喫茶店で働く私。
向かいの部屋の窓の中を覗くことが日課の私は、やがて夜の街を徘徊するようになり-
夜の闇、窓の灯、ミカド姉さんと男達・・ゆるやかな官能を奏でる文藝賞受賞作。
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青山七恵さんの本です。
前作の'''ひとり日和'''が割かし私好みだったので、早速デビュー作も借りて読んでみることに。
文藝賞の傾向って、やっぱり似ている。
終わり方がバッサリしていないというか、やんわりとした感じで終わるというか。
内容としても、はっきりしたものじゃなくて、ぼんやりとしている感覚。
多分、主人公の視点のせいなのだろうけど、遠くから物事を他人事のように見ているような感覚なんですよね。
同年代の私には、何となくその感覚は心地良いのだけれども、人によって「物足りない」という風に思うかもしれないですね。
いや、多分思うと思います。
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この主人公が、向かいのアパートに住む男の子の部屋の窓をぼんやりと眺める事が日課になっているという時点で、かなり不審者!?って感じなのだけど、それが外の世界に目を向けるようになり、色々な家の窓の灯を見つめたりと・・
実際いたら不審者で通報されるだろ!というツッコミどころも去ることながら、そういうのを感じさせない感じで書かれているのでまあ良いかと。
でも、内容が薄ぼんやりし過ぎているかなあ。
という感もあったり。
ともあれ、読みやすいのは間違いないです。
次作にも期待します。
やっぱり同い年っていうだけで、共感してしまいますしね。