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ひとり日和

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"人っていやね…人は去って行くからね"。20歳の知寿と71歳の吟子さんが暮らした春夏秋冬。第136回芥川賞受賞作。

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青山七恵さんの本です。

少し年上のイメージがあったのですが、いやいや・・同い年の作家さんでした。

だからかな。

同年代の綿矢りささん、島本理生さん、豊島ミホさんあたりを好きな人はきっと好きだと思います。

特に、島本理生さんの雰囲気に似ているので私は好きだと思いましたよ。

文芸賞受賞作家の本が、気付けば好きらしい。

小説すばる新人賞とか、そのへんの傾向って結構似ているじゃないですか。
私はこういう傾向の本が好きなんだなあと改めて気付かされました。

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物語は、特に何が起こるわけでもない本当に日常を描いているだけといえば、それまでの話です。

20歳になり、母が中国に旅立つのを機に、東京で暮らしたいと思い立った知寿。
そんな知寿に母が手配をしたのは、71歳の吟子さんが一人で暮らす東京の一軒家。

微妙な距離を保ったまま、二人の生活は静かに淡々と過ぎていく。

吟子さんのボーイフレンド?のホースケさん、駅のキオスクで働いている時に出会った藤田君を交えて静かな家で静かに日々は過ぎていく。


母への反発、見えない将来への不安、一人が楽だと思いつつも一人が不安になるという現実、アルバイトから正社員になれるという誘い、そして一人暮らしの決断、吟子さんとの別れ、藤田君との気持ちのすれ違い・・


色々な想いが、春夏秋冬の季節の移り変わりの中でゆっくりと描かれていく-

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個人的に、藤田君がやはり知寿から離れていってしまったのが悲しかったりしました。

71歳という年齢にも関わらず、お洒落することを欠かさない吟子さんのしたたかさというか、知寿との適度な距離感、付かず離れずの関係というのは、なかなか普通の人には出来ないと思うんですよね。

年齢差50歳の二人の関係の、微妙な間だとか静けさだとか・・
そういったものを描くのがとても上手い。

物語を少し遠めから、冷静に捉えている感じも島本さんと少し似ていて私は結構好きだと思いました。

デビュー作も読んでみたいと思います。

やっぱり同年代の女性作家は好きです。

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余談ですが・・

9月後半に、ようやく!檸檬のころのDVDが出ます!

あとバッテリーも。

今日角川で2冊文庫を買うと必ずもらえるというブックカバーが届きました。
勿論バッテリーのブックカバーです。

ちょっと使う勇気はないけどね(笑)