泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場―。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる-
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伊坂幸太郎さんの本です。
図書館で借りてきました。
お二方とも、結構本を出しているのでしばらく飽きません(笑)
アンソロジーにまで手を出そうとしたら、キリがないですけどね。
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これは・・面白かった。
てんでバラバラに進行していると思われた5人の登場人物達の話。
そこに繋がる街の風景、カフェ、外国人の女性・・
そこに繋がる街の風景、カフェ、外国人の女性・・
奇妙な運命に手繰り寄せられるように、バラバラの話はやがて一つの繋がった話となっていく・・
その絶妙さ。
登場人物も、話の展開もそれぞれ違うから混乱しかけるのだけど・・最後の最後で、「ああ!この人が!」という驚きと、安堵というか謎が解けたような安心感。
ここまで複雑に、緻密に書けるのはきっと伊坂さんと乙一さんくらいじゃないでしょうか。
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画家の志奈子と、経営者の戸田。
金で買えないものはないと、傲慢な戸田に対し、志奈子の絵の価値を分かってくれていた男がいた。
しかし志奈子はその男の画廊を開店させることに協力せず、戸田を選んだ。
金で買えないものはないと、傲慢な戸田に対し、志奈子の絵の価値を分かってくれていた男がいた。
しかし志奈子はその男の画廊を開店させることに協力せず、戸田を選んだ。
泥棒を生業とする黒澤は、今まで一度もつかまったことがない。
入念に計画を立て、盗みを実行する。
自分のマンションから出ると、隣人とばったり顔を合わせた。
思わず「隣人の黒沢です」と名乗ってしまう。
入念に計画を立て、盗みを実行する。
自分のマンションから出ると、隣人とばったり顔を合わせた。
思わず「隣人の黒沢です」と名乗ってしまう。
開店したばかりのカフェで、行方不明の男性の情報が書かれた紙の後ろにスケッチする河原崎。
そこに河原崎が尊敬する高橋さんの幹部、塚本がやってきた。
河原崎の父は、ビルの十七階から飛び降りて死んでいる。
街には、首輪のない犬が歩いていた。
そこに河原崎が尊敬する高橋さんの幹部、塚本がやってきた。
河原崎の父は、ビルの十七階から飛び降りて死んでいる。
街には、首輪のない犬が歩いていた。
ようやく夫から離婚を切り出す電話がかかってきた。
不倫相手の青山と、お互いの夫・妻を殺害しようという計画を立てていた京子。
これで夫を殺害する計画はなくなる。次は青山の妻を殺さねばならない。
ふいに青山が、駅前に外国人の女性が好きな日本語を書いて下さいという紙を持って立っているという話を京子にする。
「京子なら何て書く?」
不倫相手の青山と、お互いの夫・妻を殺害しようという計画を立てていた京子。
これで夫を殺害する計画はなくなる。次は青山の妻を殺さねばならない。
ふいに青山が、駅前に外国人の女性が好きな日本語を書いて下さいという紙を持って立っているという話を京子にする。
「京子なら何て書く?」
四十社目連続不採用となった豊田。
突然リストラされ、次の仕事も見つからず人生に絶望しかけていた。
外国人の女性が持つ紙には、好きな日本語を書いて下さいという文字がある。
豊田は「無色」と書いてみた。
街の片隅には、汚れた野良犬がいた。
突然リストラされ、次の仕事も見つからず人生に絶望しかけていた。
外国人の女性が持つ紙には、好きな日本語を書いて下さいという文字がある。
豊田は「無色」と書いてみた。
街の片隅には、汚れた野良犬がいた。
繋がりそうで繋がらなかった物語は、運命に手繰り寄せられていくかのようにいつしか一つの物語となっていく。
その絶妙さを、ぜひ味わって下さい。