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包帯クラブ

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傷ついた少年少女たちは、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ることにした…。いまの社会を生きがたいと感じている若い人たちに語りかける長編小説-

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天童荒太さんの本です。

最近1日に1冊の勢いで本を読み終えてしまうので大変です。

初めて読んだ作家さん。
この前『神童』を見に行った時に、予告編でこの映画がやっていたのです。

9月に公開になるようで、気になっていました。

何か、タイトルにインパクトがあるっていうか。
それでいて長編小説と言う割に、全然長編じゃないじゃん!という薄さ(うん、薄いと思う。しかも1日もかからず読み終えられたくらいだし)。

気になるじゃないですか。

で、買ってしまったわけです。

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自分たちや依頼者たちが傷ついた場所に、包帯を巻くことで気持ちがすっと軽くなる・・

ふとしたきっかけで包帯を巻くことを始めた少年少女達の包帯クラブという活動を通して、少しずつ傷が癒えていく様を描いた物語・・

何て一言で言っちゃうとつまらないかもしれないですね。

でも、単純にそういう話なんですよね。言葉にすると。


何ていうか・・確かに明瞭簡潔で分かりやすい構成なんですよ。

でも、どうにも何か単純すぎるのでは?と思えるような主人公達の過去の傷。

例えば主人公のワラの傷は、両親の離婚。
ありがちなんですよね・・

だけど、ここだけは納得できた部分が。


「わたしだって、年齢だけは大人になり。中身のない何人かの男とHして、もういいか、焦るのもみっともないしって年頃で結婚し、最初は子どもも可愛いけど、だんだん言うこときかないからキーキー言って、旦那が若い女を作ったから離婚して、やっぱり子どもは可愛いから引き取って、ひとりで育てるのは大変で、苦労して働いて、子どもらにかわいそうだから許してやろうなんて思われて、どんどん年とっていくんかなぁ・・」


どれだけ被害妄想凄いんだよっ!ってツッコミを入れたくなる部分かもしれません。
それなりに幸せな家庭に育っている人ならね。

でも、私も両親が離婚しているせいで、この手の発想はよくする。
っていうか、もう結婚自体が離婚を前提としているものだとか思えてくるのはとてもよく分かる。

結局、この主人公ワラも学生の頃にそんなことを経験しているもんだから・・将来が不透明で不幸せなんじゃないかと思っている節があるんですね。

だからこそ、その傷を手当てするかのように街の至る所に包帯を巻いていくんだろうなあと思ったんです。

確かにこれは、映像化したら綺麗かも。

包帯の真っ白さは、何もかもを元に戻してくれそうな気がするね。

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しかし、包帯クラブという名前を出す為?に、主人公たちが方言クラブというものを作って日本全国の色々な方言を交えながら会話をするのだけど・・これはいらなかったんじゃないか?と思いました。

結局、方言で話しても読者は分からないから主人公がどこの地方の言葉でなんと言う意味だとか説明を入れてくれるんですが。

それがちょっと読みづらかった。

あと、主人公達のその後の視点で書かれている手紙のような近況報告が各章毎に書かれているのですが・・最後まで読んでもどうしてこういう現況になったのかとかが全く書かれていなくて分からない。

まあ、突飛な男ディノが起こす行動の一つ一つで少しはその方向性も見えてくるのはあるのだけど・・

う~ん。

決して読みづらい本でもないけど、発想は良かっただけに節々に残念な点がありました。
個人的意見ですいません。

でも、映画はちょっと気になる。