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40-FORTY-翼ふたたび

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投げやりに始めたプロデュース業で、さまざまな同世代の依頼人に出会い変身する吉松喜一、40歳。生きることの困難と、その先の希望を見つめた感動作-

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石田衣良さんの本です。

最近石田さん読みすぎです(笑)
図書館で借りてきた中の一冊で、今度は買ってきた文庫を読みつつ・・


あまり期待はしていなかったのに、久々に本を読んで涙ぐみました

先に読んだ4TEENと同じ感じなのかなあと思ったんですが、歳の近くない40歳の主人公とその周囲の人を描いたこの話のが、何故かぐっときてしまったんです。


真夜中のセーラー服
もどれないふたり
翼ふたたび
ふたつの恋が終わるとき
われら、地球防衛軍
はい、それまでよ
日比谷オールスターズ


それぞれ短編になっているのですが、主人公吉松喜一のプロデュース業という仕事を通して体験した一つ一つの話がちゃんと繋がっているので、ラストでじーんとしてしまったんでしょう。


大手広告代理店に勤めていた喜一は、入社17年で退職。
新しく会社を立ち上げるという先輩の誘いにのったのが失敗の始まり。

新しい会社には馴染めず、5ヶ月で退社。
知り合いのつてを頼り、小さな事務所の片隅に机をおかせてもらう傍ら、投げやりに始めたフリーランス・プロデューサーとして働き始めた。

自身のブログ『40』は、

人むすび・人あつめ・40歳から始めよう~なんでもプロデュースいたします

というスローガンの下、開設したのだが・・新しいメールが届く気配はない。

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この時点での喜一は、気付いたら40歳という人生の半分を折り返してしまった年齢になっていて、やる気もなく、何だかとても投げやりに見えるんですが・・


AV女優とその旦那の関係を元通りにしたり。
20年以上も部屋に引きこもっていた男性を部屋から出すことに成功したり。
元会社の後輩とその不倫相手との恋を終わらせる手伝いをしたり。
おたく社長が始めた新しい会社の手伝いをし、成功させたり。


で、一番泣けてしまったのが・・
小さな事務所でデザイナーをしている卓巳。

酒と煙草とギャンブルが好きだが、独身で飄々と仕事をこなしてしまう。

そんな卓巳が、咳が止まらなくなり・・ついに淡に血が混じるようになり・・病院に連れて行くと、末期のガンであることが分かる-

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卓巳の言葉一つ一つが、重く響いて泣けてきました。

そんな卓巳を好きだという同じ会社の佐和子の真っ直ぐな想いも、とても素敵でした。


そして最終章で、全ての物語が一つになります(読んでのお楽しみ)。

そこでもまた、卓巳のシーンでじわりと涙が出てきました。


これはぜひ、お薦めしたい一冊です。