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DIVE!!㊦

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大人たちのおしつけを超えて自分のために、飛べ!デッドヒートが続く最終決戦の行方は?!スポ魂文学の最高傑作、感動の完結編!;密室で決定されたオリンピック代表選手に納得のいかない要一は、せっかくの内定を蹴って、正々堂々と知季と飛沫に戦いを挑む。親友が一番のライバル。複雑な思いを胸に抱き、ついに迎える最終選考。鮮やかな個性がぶつかりある中、思いもかけない事件が発生する。デッドヒートが繰り広げられる決戦の行方は?!

森絵都さんの本「DIVE!!」下巻です。

もう間違いなく!!!面白かったです。
第四章でぐっと引き込まれてページをめくる手を止められませんでした。
全然興味も関心もなかった、「飛び込み」。
それがこんなに、色鮮やかにイメージできるなんて・・。

森さんの凄さを知った一冊です。
解説は、私も好きな佐藤多佳子さんが書いていらっしゃいます。
佐藤さんの本当に素直な意見というか・・感想が本当に共感しますね。


第3章 SSスペシャル‘99

3章は、無敵の天才、富士谷要一の目線で進んでいく。

知季の目にも、世間にも、要一は完璧な演技をこなすオリンピック有力候補と言われ、MDCのリーダーとしても良き兄貴分の彼。

そんな彼にビックニュースが飛び込んできた。
それは・・
要一が、シドニーオリンピック代表に選ばれたという知らせだった。

しかし、クラブメイト達の手前手放しに喜ぶことは出来なかった。
それでも嬉しくてたまらなかった要一だったが・・

例年より早い代表選手の発表。
その裏には、日水連の思惑が渦巻いていた・・。

それを知った要一は、何故か自分でも分からないくらいやる気をなくしてしまう。
そして一週間のズル休みをする。
クラブメイト達は驚くが、要一は何故か練習に行く気になれなかった・・。

しかし、父でありクラブのコーチでもある敬介に諭され練習に復帰した。
そして気になる言葉を言われて・・。

「日中親善試合の成績で、要一を代表選手に選ぶ」と・・。
まだ試合も行っていないのに?

その言葉に違和感を覚えた要一は、とある大きな賭けをする決意をする。

そんな状況下で、何故か長期に渡ってのスランプに陥りながらも・・。

要一の賭けは成功するのか?
スランプからは抜け出せるのか?
そして、日中親善試合が始まる・・!


第一章は、坂井知季の視点で
第二章は、沖津飛沫の視点で。
第三章は、富士谷要一の視点で。

クラブメイトであり、仲間であり、ライバルでもあるこの三人。
それぞれの視点から語られる登場人物たちの何と生き生きしていること!

自分は、一番要一が好きですね。
真面目で、こだわり体質というか。でも試合では完璧にこなしてしまうこととか。

知季の視点では、完璧な人間に思えた要一の、意外な弱さが逆に人間臭くて好きです。


第四章 コンクリート・ドラゴン

最終章。
日中親善試合の模様を、色々な人物の視点から捉えていきます。
鬼コーチでもあり、クラブメイトである 知季・飛沫・要一・レイジをこの試合の決勝戦に出場できるまでに仕立て上げた女コーチ、麻木夏陽子の視点。
どうしようもない程の緊張からくる、震え。
毎日毎日少しずつ伸びていく教え子達が、本番の試合でもまた一歩成長している姿を見たときのあの気持ち・・。
鬼コーチの一面しか見えてこなかったので、何だか興味深く思えました。
または、要一の父でもありコーチでもある敬介の語りや。
三人の影に埋もれながらも、自分だけの飛び込みをつきとおす決意を決めたクラブメイトのレイジの視点や。
飛沫の故郷、青森にいる彼女・恭子の視点。心に迷いがある恭子は、今日の試合で気持ちを定めに来た。
また、元・知季の彼女であり、知季の弟弘也の彼女でもある未羽と弘也の視点。


試合の、静けさと緊張が色々な視点から伝わってきて、何だかとても不思議な気持ちになりました。
それでいて、この第四章の面白さは半端じゃなかったです。
最初は飛ぶことを恐れ、本気で取り組む意欲もなかった知季の変貌ぶり。
何とたくましいこと!
そして腰を負傷しながらも白鳥のように華麗に飛んで見せた飛沫。
情景が目に浮かぶようです!
更に風邪でふらふらな体を押しながらのダイブ!
どんな根性があれば、あんなに頑張れるのか?

さて、オリンピックの代表選手は一体、誰になるのか?!

かなり面白かった!
その一言に尽きます。