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エンキョリレンアイ

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十三年前の春、二人は書店で出会い、優しく切ない恋が始まった。切ない恋を抱えている人に。新しい恋を探している人に。東京とNY、海をこえてつながる純愛物語。

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小手鞠るいさんの本です。

地元本屋ですら、お薦めとして平積みしているくらいで。
帯にも某、上戸彩が感動しました、的に書いてあって。

いかにもな感じに、カバーは好きなんだけど何だかなと思っていたのですが。

後輩が貸してくれるというので、読んでみました。

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前回、借りた本で「さよならの向こう側」が思い起こされるような内容でした。

思い合っていた男女。
男の方が、アメリカに旅立ってしまう。
遠く離れた二人。
メールと、電話だけの毎日。

エンキョリレンアイ。
だんだん、メールも電話も途絶えてしまって。。

という、遠距離恋愛王道のパターン。

最初の章では、あり得ないだろ!
的出会い。
頻繁に届いていた、メールや電話。
毎日がさびしいけれど満たされていた主人公。

という感じです。
どこかありがちなシーンだな、と感じてあまり話に入って行けなかったのですが。。、

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主人公、花音は22歳の誕生日に京都のバイト先の書店で、運命の相手に出会った。

児童洋書を担当していた花音に、海晴(6歳年上)はいとこに絵本をプレゼントしたいと言いどれが良いのかを尋ねてくる。

その伸びやかな心地良い声に、一瞬にして心を奪われる花音。

「また会えますよね。俺たち、きっとどこかで。」

それから、突然の電話・・
そして海晴が、明日にはアメリカに旅立つという事実を知る。

花音は、京都から東京へ就職。
海晴は、アメリカで料理学校へ。

旅立ちの日、空港まで焦る思いで駆けつけた花音。
優しく迎えてくれる海晴。

優しいキス。
10000回の・・。

しかし、後にも先にもそれが最初で最後だった・・。

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そこから始まる、メールや電話のやりとり。
就職先での、不満や怒りも海晴に話すと気持ちが晴れた。

そして、海晴の元へ向かう時が来たのだが・・
突然の父の事故の知らせを受け。。
結局は海晴の元へ行くことが出来なかった花音。

そして・・

「・・新しい出会いがありました。運命の出会いっていうと、大げさだけど、今かなり感動し、揺れ動いています。」

そのメールが届いてから、ぷっつりを連絡が途絶えてしまう。

何度もメールや電話に伝言を残すが、海晴は応答してくれない。
それどころか、ついに海晴の元へと向かった花音が電話したそこには、知らない女性の声が響いていた。

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一体、いつになったら二人はまた、会うことが出来るのだろう?
ともどかしい思いで一杯でした。

海晴の家の電話に出る女性が、その謎を握っていて、最後にはハッピーエンドになるのか?
と思ってたら・・
油断しすぎてました。

12年経った今でも、心の底から人を好きになれない花音。
その花音の元に、手紙が届く。
全ての謎が解明する・・。

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読みやすかったです。
一言で言えば。

花音の語りと、海晴のメールという構成で物語が展開しているので、読みやすい。

でも、二人の話に重点を置きすぎて、花音の身の回りの環境・・

弟の死・父の事故・母との家族関係や、病気で亡くなっている友人と、妊娠を告白した友人と。
会社の内部で起こった事件と、同僚の関係も・・

何だか、通過点に過ぎない感じの、雑な印象を受けて、そこもじっくり描いて欲しかったなあと感じました。

でも・・
良かった。
22歳という、主人公にも共感を抱いたし(同い年だから)、35歳になろうとしている花音。
12年という月日が経っても。
何人かの人と付き合い、結婚し離婚するまで。。
恋愛をしていても、心はいつもここにはない状態で。

あの想いを、アメリカにおいてきてしまったという表現も、
何か・・

凄く良く分かって、何かどうしようもなく泣きそうでした。

私も、そうなりそうで、怖いし、
でも、怖くない気もして。

そういうの全てひっくるめて、素敵な一冊でした。