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スローモーション

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柿本千佐、女子高の1年生。22歳のニイちゃんは元不良で無職。小学校教師の父さんはあたしに、修道女みたいなタイプを望んでいる。最近、いつも動作がスローな同級生・及川周子が気になってしかたがない――。

黄色い目の魚しゃべれどもしゃべれども佐藤多佳子さんの本です。

この文庫が発売するというのを知って、買ってみようと思いました。

佐藤さんの本は、黄色い目の魚、サマータイムに続いて3冊目になるのかな。

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千佐の兄(22歳、ニート)は、数年前に起こしたバイク事故で、今もリハビリをしないせいで足を引きずっている。
何もしないで外でぶらぶらしたり、家でゴロゴロしたり。

昔、ナイフで人を傷つけて退学になったこともあった。

でも、千佐は・・
その時には、兄を怖いなんて思いもしなかった。
なのに今。

兄の事故現場を写したパネルを部屋に飾っている。
何を考えているのか?

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父は一度離婚していて、母親と再婚。
母とは血が繋がっていない。
何故か父の元妻と未だ交流している兄。お金までもらっているらしい。

一方父は、兄に散々手こずらされたおかげか?千佐に修道女みたいなタイプを望んでいる。

クラスで「悪そう」と噂されると、悪いふりをしたくなる。
クラスでも遊び人グループと一緒にいる千佐。

それでいて門限は8時。

部活もやっている。

なかなか大変な毎日だ。

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部活は、水泳部。

プールの消毒薬のにおいが好きだ。
泳いで泳いで、嫌なことを忘れる。

その水泳部に、とてつもなくトロイ動作で泳ぐ及川周子がいる。
何故かフォームは綺麗。

クラスも同じ。だけど、ほとんど誰もしゃべったことがないだろう。
トロクて、そんな及川を見ていると千佐はいつも眠くなる。

及川の父親は犯罪者。
そんな噂が流れている。

噂は噂。
と思いつつ、とあるきっかけで及川と関わりを持つようになった千佐はそのことを聞けずにいる。

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どうしようもない兄と。
動作も何もかも、スローで独自の世界を築いている及川。
そんな兄を持つ千佐と・・

その3人が微妙に交わり始める。

兄の失踪。
及川の過去。

その時千佐は・・

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最後、及川はどうなったのだろう?
変わり始めた兄の、その後は?

色々な気になる点を残して、物語は簡潔する。

個人的に、及川が気になってました。
この子は・・思った以上に強い子なんだなあと実感。

それより強いのは、やっぱり主人公の千佐なんでしょうけどね。