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月とてのひら/ランクヘッド

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番外編。
書かずにはいられなかったので、レビュー?でも書いてみます。
相変わらずぐだぐだで申し訳ないですが・・・。

『月とてのひら』ランクヘッド

(01.月光少年)
冒頭から期待が高まっていくような音。
何かが始まるような、それがきっといいことであるような。そんな期待感に満ち溢れる歌だと思う。

     僕は自転車漕いでおりました
     六速式の最新兵器
     鼻歌のひとつも歌いながら
     順調に漕いでおりました

歌詞だけを見ても、物語が今から始まるかのような。
~しておりましたという語りが憎い。そして上手い。
六速式の自転車を<最新兵器>と言っている所がまたいいなと。
思わず自転車漕いで街へと繰り出してしまった。

(02.グッド・バイ)
この歌は、メンバーにとって思い入れの深い特別な一曲だそうだ。
このアルバムの発売前に行ったライブで、既にこの曲を聴いていたのですが・・やっぱりそんな想いがこちらにも伝わってくるような気がした。上手くは言えないが、
「優しい歌だな」ってただ漠然とした想い。
一見明るめの曲調も、タイトルも・・
「さよなら」ではなく「グッド・バイ」という事で、決して悲しい歌ではないと思わせるような所がいい。
 
     最近は思い出すことより
     思い出せないことが
     増えていくことのほうが恐くなる

という歌詞にははっとさせられた。
そういえば、そうかもしれないって。

(03.体温)
アルバム発売前に出されたシングル曲。

君が生きているというだけで、心が震えて涙が出ることに意味や理由は要らない・・・と叫ぶ。

何ていえばいいんだろう・・
骨の髄まで響く音。
真っ直ぐで、痛い程に。

(04.魚の歌)
個人的意見として言うが・・この曲、凄くいい。

どうしてランクは日常のさりげない風景を切り取って歌に出来るんだろう。
<スーパーの鮮魚売り場の100円引きの魚>
なんて、ランク以外に誰か歌にしてしまった人はいるだろうか?

100円引きの活きの悪い魚=僕
という式を作りあげ、この歌の主人公は変わりたいと思いながら、寝て起きて息をして日々を過ごすだけの毎日を送っている。
それは自分自身も、いやきっと誰もが持っているものなのではないか。

     辛い事なんてないし
     運命だと受け入れてしまったら 
     悩む事さえ稀なもんです
     なんて風に言えたらなぁ 幸せかなぁ
     そんなわけあるか

自問自答。変わりたいのに、何かを始めることが出来ない自分には痛い程突き刺さる。
一瞬この歌詞を見て、この辛い現実を運命と受け入れてしまえばああ確かに悩むこともないのかも、と思いかけた。
しかし最後に「そんなわけあるか」
そう言ってくれて、救われた。

     消えたっていいけどさ
     痛いのはやっぱさぁ嫌なんだ

死んでしまっても別に構わない、時々そう思う時はある。
でも、痛いのはやっぱり嫌だ。
これは誰もが抱える不安や焦燥感を、ストレートに言葉にしてくれた歌なのではないか。

だからこんなにも、この歌がいいと思えるのだろうか?

(05.ひとりごと)
シングル曲。
この歌は長い。
更にこの歌詞に当てはまってしまう親友を思い出してしまうので、いつもちゃんと聴けない。
切なくなり過ぎて。

     僕は何もできないけど 痛みさえ知り得ないけど
     今はここにいるから それしかできないから

だけどいつか・・自分に代わって、ランクのこの言葉を添えて、親友へ捧げたい一曲でもある。

(06.姫百合の花)
サビの部分の
 
     三分見つめ続けた空の青は
     目を閉じたら赤黒く瞼に焼き付いていた

という所がとても印象に残る。
三分見つめ続けた・・・の後に続く歌詞は、大体「君の瞳」だとか陳腐な歌詞が多い音楽の世界じゃないか?
しかし、だ。
<空の青>を三分も見つめ続けたその先には、一体何があるんだろうか?

この歌詞を読む限り、この内容には色々な憶測が出来ると思う。
何度読んでもその真意は小高氏にしか分からないのだろうし、無意味な事だと分かっているけれど。

だからこそ、見つめ続けた<空の青>という色が鮮やかに浮かんでくるのか。

そしてふと思う。最近、空なんて見てないなと。

(07.自分を愛すと決めたんだ)
個人的このアルバムのベスト3に入るだろうと思える作品。

胸が張り裂けそうになる。
聴く度、聴きこんでいけばいく程に。

タイトルからして何なんだ?
自分を愛すと決めたんだ。
ドラマの主人公のような、どこか嘘臭いような台詞。

だけど・・この歌の詞がいい。
既にイントロの音で泣きそうになっているのに、その光景が自分が見たものではないかと錯覚するような幻想感に溢れている。

      放課後の嘲り笑いや ガラスに映ったその顔や
      夕日がつくったその影に 私のすべてを捨てたんだ
      運命呪ったあの夜も ナイフを握ったあの朝も
      すべてを捨てて今、私 自分を愛すと決めたんだ

放課後の夕日が差し込む教室に、男の子と女の子が二人、向かい合って語っているかのような。
しかし彼女の言葉に彼は否定的な想いを抱く。

      夢のような毎日なんだと君は言うけれど
      そこにどんな未来も待ってはいないんだぜ

だけど、彼女は綺麗な目で、微笑む。
「自分を愛すと決めたんだ」

自分を愛することは、きっと何よりも難しい。
それは自分にも痛い程響いてきて、また私は胸が張り裂けそうになるのだ。

(08.蝉)
100円引きの魚の次は、死に掛けた蝉である。

死に掛けの蝉って、もう死んでるかと思って近づくと「ミミミミ・・!!」と必死に泣いて、道路の上でもがきながら暴れているのをよく見る。
そういうのを見て、蝉は恐いというくらいの気持ちにしかならない自分は、一生小高氏の書く詩の世界を理解することが出来ないのではないか・・・と不安になったのだが。

この清々しい程の爽快感に溢れたサウンド
そして蝉を見て感じる気持ち。

蝉は死が近づいているのを分かっている。
それでも必死に羽根を動かしてのたまう。
そして一心に見つめ続ける、真っ青な空。

      鳥肌が立った

締めくくりの歌詞に、同感。
今年の夏は、蝉をもっと違う目で見ることが出来るかもしれない。

(09.零時)
曲の始めは、普通に聴いていたのだけれどサビにきて「やられた!」と思った一曲である。
ここに君はいない。
そんな状況から逃れたい。
そして叫び続ける。

    逃げ出したい 息をしたくない 
    けどそれも無理のようで
    ただ明日を待って息を潜めてるだけ
    悪意はないと謳う悪意に満ちているこの世界で
    何を思えばいい?
    正論なんか聞きたくない
    正義も愛も 
    この夜の闇が食い殺してくれたらいい

最もな意見です。
世の中、誰を信じていいのだか分かりません。
正論なんて唱えられた所で、そんなの聞きたくない。
正義なんかいらないし愛もいらない。
全てから逃げ出したい。
死んでしまいたい。

でも、そんなの無理なようです。
だから私は、この歌を聴き続けるのでしょう。

(10.ハイライト)
もう何も語らない。
以前に語り尽くしたから(ランクのレビューにて)

だけど、やっぱりこの曲は私にとって特別だ。

(11.月と手のひら)
先日のタワレコのイベント時に聴くことが出来た。

優しい、優しい歌。
隣に自分の一番大切な人がいたら、きっともっと素敵な歌でしょう。

     色々話したいことが たくさんあるはずなのに
     ひとつも言葉にならないから 強く手をにぎる

月明かりの下、大好きな人と手を繋いで家へ帰る。
そんな光景が浮かんでくるようだ。

話したい事、伝えられない言葉。
そんな気持ちも、手のひらから伝わるのだろうか?

強く、強く、あなたの手を握って。
伝わるかな?この気持ち。
伝わってほしい。私の想い。

いつか大好きな人とこの歌を一緒に聴けますように。

(ボーナストラック)
最後の曲が終わっても、回り続けるCD。
こんな一曲が入っているとは。
無音状態から5分後くらいに始まる歌。

これ・・ランク・・だよね???
と疑う程に、普段のランクからは想像もつかない音楽、とだけ言っておきましょう。
でもとっても楽しそう。
ぜひ聴いてみて下さい。

・・・レビューじゃねえっ!