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空中庭園

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家族のことが、好きですか?郊外のダンチで暮らす京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。でも、ひとりひとりが閉ざす透明なドアから見える風景は…

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角田光代さんの本です。

初めてこの作品の名前を知ったのが、とある映画を見に映画館に行った時でしょうか。
予告編で初めて見て、小泉今日子鈴木杏が出てる・・あ、角田さんが原作なんだ・・などと思った記憶は残っていて、図書館でこの名前を見つけたときは、即借りてしまいました。

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ダンチに暮らす4人の家族、祖母、浮気相手の6人の話。


ラブリー・ホーム・・・長女・マナ15歳。自分が生まれるきっかけになったホテルに興味を持つ。
チョロQ・・・浮気を繰り返す父・タカシ。二人の浮気相手と修羅場が。
空中庭園・・・母・絵里子。昔の自分の家族のようにはならないように、今の「家族」を作りあげる。
キルト・・・絵里子の母・さと子。孫とその家庭教師の女とラブホで対面。
鍵つきドア・・・父の浮気相手。コウの家庭教師の先生。家族を持たないと決めている。
光の、闇の・・・弟コウ。中学三年生。実は童貞ではない。

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秘密を持たない、タブーをつくらない、何事も包み隠さず分かち合おう

という決まりを持つこの家族。
何もかも話し、家族内では秘密を持たないと決める事が・・逆に裏目に出てしまう。
隠し事をしないということは、つまり嘘を言っても誰も疑わないということだ。

絵里子のなんとも言えない、その家族への執着が恐かったし、何より恐かったのは、浮気相手の女の気持ちに、何だか一番共感してしまったことだろうか。

子供の頃「家族」という狭い世界が自分の居場所だった。
この環境が、みんなの「普通」なのだと思った。

自分の家は、人の家とは違ったから・・気付いた時には愕然としました。

絵里子も、三奈も、子供の頃から家庭に違和感を覚えていたクチなのだ。
そんな人には素敵な家族など作るのは無理なのだろうか?

では私は?
私もまた繰り返すのか?

何故か色々な不安がこみ上げ、あらためて結婚し家庭を作っていくという将来に不安が募って何とも痛い物語だった。

変に生々しく、日常にも潜んでいそうな気がして恐かった。

それでも、気になって一冊読んでしまったのは・・
それだけ何かひきつけるものがあったに違いありません。