No-music.No-life

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いつでもそばに、スムルース

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    「ため息はどこまでも白く遠く
        どんなに想っても君はいない
           凍えそうに声は君に届かない」

    「シェイク ツイスト モンキー J・B ゴーゴー 疲れ知らず  
      ブレイク フラッシュ 盆 ジュリアナ 太極拳 さあ 踊るのです」

    「カルピス飲んで元気になろう カルピス飲んでろ」

上から順に、『冬色ガール』『ディスコ☆スター~OKAWARI~』『カルピスチュッチュ』
その全てが紛れも無くスムルースの紡ぎ出す音楽である。

それにしても、三者三様。同じバンドが作ったなんて、歌詞を見ただけでは分からない。

『冬色ガール』では失った恋の歌を、『ディスコ☆スター~OKAWARI~』では、ノリノリのダンスナンバーを。『カルピスチュッチュ』では、<初恋=カルピスの味>の発想で作られた音をそれぞれ見事に音にしている。

私は未だにスムルースのバンドサウンドを決められた枠に収める事が出来ない。
ロックというには微妙に違う気がするし、ポップと言ったらそれも違う。かといってスムルースというバンドに適当な枠が浮かんでくるわけではない。

スムルースというバンド名は、「R&B(リズム&ブルース)」から付けたという事だが、スムルースはR&B?と問われたら私はきっと頷く事が出来ないだろう。
そんな事を考えているうちに、やはりスムルースの音楽的な位置の格付けが出来ないまま考えはまとまらないのだ。

スムルースの魅力と言えば、やはりその音楽もそうだがライブパフォーマンスにも注目したい所だ。
メンバー全員がなんとそれぞれ血液型が違う事(!)や関西発のバンドという事もあり、ノリは抜群。
ライブ中のボーカル徳田氏の言葉も毎度ながら胸にじーんときてしまう。
そして恒例の習字パフォーマンス。
その時々のライブ(ライブの開催地だったり、ライブのタイトルであったり)にちなんだ言葉を筆で書いたと思いきや・・徳田氏の言葉を挟みながら少しずつ、少しずつその文字に書き加えられていき・・・
そしてそれをくるりと回転させると・・・・!!
・・それ以上は、ライブに行ってのお楽しみ。
ライブの度に、いつも歓声を上げてしまうそのパフォーマンスは、ぜひ一度見て戴きたい。

そして桜の季節になった頃、届けられた新曲『沈黙の花言葉
CDジャケット(音楽記事「スムルース」参照)一面に広がる桜の花。

     「春よ 恋の日々よ
         咲かない花 とかしてよ
            散り散り さくら模様 
                   沈黙の花言葉

恋に破れた事を歌う、直接的な歌詞ではない・・と思う。
それは歌詞の断片(「季節で気配を感じれば 花粉まじりの孤独に くしゃみします」)などを見ると伺える事ではあるが、一度聴いただけではこれは悲しい恋の歌なのか、桜の思い出の詰まった素敵な恋の歌なのか、判別出来ないのだ。
だけど、メロディーラインの美しさに思わず耳を奪われて、気付いたら至福の中にいる。
ある時は失った恋に想いをはせながら、またある時は好きな人と一緒に寄り添って聴きたくなるような。気分次第で気持ちも変わってくる、そんな音楽を彼らは作りだしてしまった。

彼らの音楽を聴いていると、何故か気持ちが安らいでくる気がする。
決して隣に想っている人がいるわけではないし、私はたった一人の孤独な存在であるはずなのに、何故か一人でいるような気がしないのだ。
それはライブ中でも感じられるメンバー達との一体感にも似た、不思議な感覚。

スムルースの音楽は、時に切なく、時に楽しく、時にしっとり・・と様々である。
特に身近に感じられる一枚がインディーズ盤として発売されている「しとやかイオン」というアルバムである。

タイトルが何よりいい。
『背伸ビスケ』『ごはんがたけたときのうた』『カサブタトッタ』『非常にイェイね』『トモダチパラソル』
どれもが日常に転がっているような、自分にも手が届きそうな程身近で、愛らしくさえ思える。

普通のバンドなら、きっとこんな可愛いタイトルなんて付けられないだろう。英語のタイトルだったり、ちょっとかっこ良すぎるくらいの名前を付けたり。
だけど彼らはそうしない。
驚くほどに真っ直ぐだ。

   「かさぶた取ったら血が出た しばらくたったらまたできた
    放っておいたらなくなった
    楽になったから恋でもしましょう」

この後に「ララララ」というメロディと「つづく」が入るのだが、歌詞表記はたったこれだけの短い歌。
なのに何だか憎らしいほどに、可愛いのだ。
かさぶたが直ったから、恋でもしちゃう?というその発想が。
何だか、毎日がカラフルで、楽しくなりそうな気がしないか。

その他『ごはんがたけたときのうた』は、私的解釈だが失恋ソングだ。
特に女の子は彼氏の家でご飯を作ってあげたりした経験があるなら、尚更聴いてもらいたい。
きっとほろりと涙が流れてしまうかも。

彼らは今日も歌い続ける。
孤独を感じたら、スムルースを聴いてみよう。
そうすればきっと、一人ではないと思えるはず。
いつだって、スムルースを近くに感じる事が出来るに違いない。