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女性の体に嫌悪感を覚える元恋人の冠くん。冠くんと別れ、半ばやけでつき合った遊び人の藤井。今の恋人、大学生のせっちゃん…人を強く求めることのよろこびと苦しさを、女子高生の内面から鮮やかに描く-

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島本理生さんの本です。

島本さんの本を手にしたのは、『リトル・バイ・リトル』という本がきっかけでしたが、以前から自分と同い年の作家で凄く絶賛されている人がいるので気になっていたのです。

この作品を始めて読んだのは、図書館で借りたときでしたが、とても好感を覚えたので購入に至ったものです。
そして、久しぶりに読み返してみました。

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後になってから自分の間違いに気付くことはあまりに多いのに、後から強く間違っていたと後悔することほどそのときには気が付かないことが多い。

「わたし」は、心の底に消えない想いを抱えている。
昔付き合っていた「冠君」への想い。

ずっと続けばいいと願う一方で、ずっと続くことはないだろうという漠然とした未来が見えていて、結局わたし達は駄目になった。

「冠君」の小さな秘密。
その秘密を受け止め切れなかった幼い「わたし」


あの時期に失ってしまったと感じたものが、どんなに待ってもいつか自分に戻ってくることは決してないことだけは、痛いほど分かっていた。

自暴自棄になる心。
やけになり、二週間という短期の間、町で知り合った男の家に転がり込む。
そして感じた気持ちは・・。


「せっちゃんを好きな気持ちとはまったくべつの気持ちで、わたしに好きな人がいるかもしれない」

そして、今。
「せっちゃん」という彼氏がいる。なのに・・この気持ちは一体なんなのだろう。

「せっちゃん」に会いたくてアパートまで会いに行く自分と。
溢れ出す「冠君」への想い。そして思い出。

「たとえ好きだという気持ちは違っても、そういう気持ちを同時に二つ持ってオレとは一緒にはいられないよ?」

そして、「せっちゃん」と会わなくなって初めて気付く、想い。
「冠君」の突然の引越し・・。

「冠君」と「わたし」の共通の友人「はじめ」から聞かされた「冠君」の想いは・・。

・・・

何でなんでしょう。

島本さんの描く物語は、一点の曇りもなく、私の胸に痛い程つきささってきます。

これが、17歳のデビュー作であることに二度の驚きを感じます。

物語の中の、一つ一つの言葉が、今の私にも言われているような気がして、痛かった。

「切ない。」

一言の感想です。

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ちなみに・・高校生の時って、大学生が酷く大人に見えたりしませんか?

そのせいかな。「せっちゃん」が随分しっかりした大人の大学生ですよね?

多分19歳くらい?

現実って、そんな人なかなかいないと思うけど・・

「せっちゃん」が、「わたし」をあなたと呼ぶことに、何だか素敵だなあと関心してしまう。

こんな人が世の中にいたらいいなあ、と全然関係ない感想です。

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デビュー作といえど、侮れません。

島本理生さんの作品を未体験の方は、ぜひ!
お薦めです。