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光の帝国 -常野物語-

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膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから―「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への思向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか-?

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恩田陸さんの本です。
最近恩田さんの作品ばかり読んでいる気が・・。

それはさておき。
気になっていた本です。
知人から借りることが出来まして、早速読んでみました。

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それぞれに不思議な能力を持っている「常野」一族の物語です。

大きな引き出し
二つの茶碗
達磨山への道
オセロ・ゲーム
手紙
光の帝国
歴史の時間
草取り
黒い塔
国道を降りて・・・

それぞれ常野の者たちが生きる時代や、場所は違っても、彼らは変わりません。

決して主張せず、穏やかに、ひっそりと暮らしています。

しかし、その特殊な能力は異端なものだ。
我々普通の人間からみれば・・

ある時は、故人の記憶を呼び起こし、感動を与えたり。
ある時は、未来を見通す力を持ち、結婚相手に必然的に出会い。
ある時は、常野一族の聖地であった場所で、近い将来起こるだろう場面を見てしまったり。
ある時は、常に色々な形をした『あれ』を「裏返す」という日々を過ごさなければいけなかったり。
ある時は、「常野」に興味や恐怖を覚えたり。
ある時は、その特殊な能力を悪用され、虐げられ・・
ある時は、過去を思い出したくないと、過去を封じてしまったり。
ある時は、日々『草取り』をしている人間がいて。
ある時は、遠い過去を取り戻し、過ちを修正し
ある時は、約束どおり生まれ変わってまた会いにきて・・

心が、温かくなったと同時に、どうしようもない寒さも感じる。

私的に好きなのは、「二つの茶碗」「オセロ・ゲーム」「黒い塔」です。

それぞれの物語が、ふとしたところで繋がっていたりして前のページに戻ったりしながら読んでました。

ああ、でも・・
「光の帝国」は、胸が苦しくなってしまいました。
特殊な能力があるということは、人から好奇の目で見られるということ。

人とは違う、「異質」であるが故、
悪い意味で利用されてしまったり、それを拒めば虐げられてしまったり・・
悲しい運命なのかもしれません。

「光の帝国」は、時代が時代だけに・・
本を読んだあと、夢に出てきてしまったくらいです。

それでも、決して権力への関心を持たず、穏やかに、ただひっそりと暮らしている常野の人びと。

そんな「常野」に、私はとても興味と好感を覚えたのでした。

このシリーズは、あと2冊あるみたいですね。
ぜひそちらも読みたいです。