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不安な童話

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私は知っている、このハサミで刺し殺されるのだ―。強烈な既視感に襲われ、女流画家・高槻倫子の遺作展で意識を失った古橋万由子。彼女はその息子から「25年前に殺された母の生まれ変わり」と告げられる。時に、溢れるように広がる他人の記憶。そして発見される倫子の遺書、そこに隠されたメッセージとは…。犯人は誰なのか、その謎が明らかになる時、禁断の事実が浮かび上がる-

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恩田陸さんの本です。

はっきり言います。

最初は特に期待をしていたわけではありませんでした。

でも、冒頭からいきなり心をわしづかみにされました。

それくらいに、面白かった!!

自信を持って言えます。

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物語は、主人公古橋万由子がひょんなことから女流画家・高槻倫子の美術館に行ったことから始まった。

美術館で突然、強烈な既視感に襲われ倒れてしまった万由子。

とある日、突如職場に訪ねてきた男・高槻倫子の息子の秒から
「25年前に殺された母の生まれ変わり」だと告げられる。

そして、母が死んだときの状況を思い出して欲しいと言われ、最初は乗り気ではなく、どこかで訝しがりながらも、秒に協力することにする。

倫子が残した遺書(簡単なメモ書き程度だが)を元に、生前倫子と関わったであろう四人の人物との接触を開始する。

絵を見て、怒りだすもの、喜ぶもの、なんとも感じないような素振りをみせるもの、懐かしむもの・・

それぞれが違う反応を示す中、
絵のそれぞれに示されているタイトルが、四人との関係を示していることに気づいていく。

そして、万由子にも次第に脅迫の魔の手が忍び寄る。

謎が少しずつとけていくにつれ、万由子をはじめ、倫子に関わった回りのものにまで被害が及ぶようになっていく・・

一体、誰の仕業なのか?
誰が倫子を殺したのか?

そして、衝撃のラストへ-

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というか、だんだん後半になるにつれ、何となく倫子を殺した犯人はめぼしがついてきていました。

しかし、プロローグが倫子の語りで始まるこの物語の冒頭で読み手の心をぐっと掴まれてしまうのは言うまでもありません。

そして、等身大といったら安っぽすぎるかもしれないけれど、特に美人でもなく、普通の(少し普通ではない能力があるのだけど)主人公、万由子の語りにはとても共感がもて、
全体的にみると、重い話なのに重みをそんなに感じないのは、この主人公のなせる技なのではないかと思ってしまいます。

この物語の中で、全然倫子にかかわりがなさそうだった人が、意外な接点があり、それが最後の最後まで分からないところが凄いと思います。

倫子を殺した犯人と、倫子とかかわりのあった四人の不審な点と、そして全ての謎が解けても、エピローグで、完全に恩田さんに騙されてしまいました。

これは予想だにしていない、大どんでん返しでありましょう。

展開がスピーディーで、読みながら一緒に主人公たちと推理が出来ますし、一つのドラマを見ているようです。

ぜひ読んでみて下さい。

そして、最後の大どんでん返しに驚いていただきたいと思います。