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球形の季節

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四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が広がった。「地歴研」のメンバーは、その出所を追跡調査する。やがて噂どおり、一人の女生徒が姿を消した。町なかでは金平糖のおまじないが流行り、生徒たちは新たな噂に身を震わせていた…。何かが起きていた。退屈な日常、管理された学校、眠った町。全てを裁こうとする超越的な力が、いま最後の噂を発信した-

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恩田陸さんの本です。

ゆうきさんから薦められていた恩田さんの作品の一つで、いつか読もう、いつか読もうと思っていたらこんなに遅くなってしまいました。

図書館で借りてきたのですが・・

恩田さんの二作目の作品だそうです。

だからかな、少し読んでいて混乱してしまった所があって。

物語は、
主に東北のとある特殊な町、「谷津」にある四つの高校から繰り広げられていきます。
それぞれの高校に通う生徒達、「地歴研」のメンバーの語りで物語は進んでいき・・。

みのり、弘範(ひろのり)、仁、裕美・・

中心人物の四人と、みのりの親友、久子と、その久子の気になる相手の晋と・・・

その他、数人の登場人物の視点からも語られるため、この人って誰だっけ?
この人は?

って、少々困惑してしまう部分もありました。

それは、やっぱり二作目ということもあるのかもしれません。
しかし、やはり恩田作品の特有のミステリは近作でも冴えています。

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とある東北の田舎町。

その町は、谷津という。
この町の出身者の多くが、帰省する率が非常に高いのだという。

その町にある、如月山には二つの女子高と、更に二つの男子校がある。

そんな中、みのりたちは、「地歴研」の定例会に参加する。
その途中、何かにつまずきバランスを崩した。
そこにはカラフルな金平糖が落ちていた。

その時は気にも留めなかった。
しかし、それが噂に関係することだとは・・

広まっている噂は、人によって少し聞いている話が違うらしい。

みのり達が聞いた話ではこうだった。
「五月十七日にエンドウさんという生徒がUFOに連れていかれる・・」

突拍子もない噂だと、半信半疑の生徒達。
しかし追跡調査をする、とやる気をみせる弘範。

アンケートをとり、噂の出所を調査するうちに事件が起こる。

噂通り、エンドウという生徒が失踪したというのだ・・!

次々と広まる噂、そして噂は現実となり・・

この噂は本当なのか?
どうなってしまうのか?

次々と不思議なことが起こり、登場人物たちが複雑に絡まりあっていく。

そして・・・

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今作も、また謎が解けぬままに終わってしまう感じなので、気になって仕方がありません(苦笑)

私的には、やっぱり六番目の小夜子の方が好きですが、この作品は、別の視点でみるとかなり共感してしまうところが多かったと思います。

東北の小さな町。

大学進学=この町を出る

という図式があてはまってしまう町に、主人公のみのりは言うのだ。

「単に、新しい場所に行くのが面倒くさいんだよ。あたし、チャコとか弘範みたく簡単に谷津をひきちぎって出ていくエネルギー、ない。」

そして言うのは、
この町を出て東京に出たとしても「あいつは東北人だから」というイメージはべったりついていくのだ、と。

対して弘範や久子は、この町が持つ独特の雰囲気やテンポに違和感を覚えている人間なのだ。

そんな外に憧れを持つ二人に、みのりは一抹の寂しさを感じてしまう。

・・・

私も茨城の片田舎に住んでいる身なので、やはりこういう気持ちは持っています。

私の友人は、この町(地元)が性に合わないと思っている、弘範みたいなタイプだとするなら、私はみのりのようなタイプなんじゃないかと思うのです。

やはりずっとここにいたい訳ではないけど、簡単に見捨てられない場所というか。
みのりの台詞と同じく、出て行くエネルギーというものがまだ足りない気がするのです。

そういった、全然物語とは別の視点で、今作に共感してしまったのでした。