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夜のピクニック

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夜を徹して八十キロを歩き通すという、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。生徒たちは、親しい友人とよもやま話をしたり、想い人への気持ちを打ち明け合ったりして一夜を過ごす。そんななか、貴子は一つの賭けを胸に秘めていた。三年間わだかまった想いを清算するために―。今まで誰にも話したことのない、とある秘密。折しも、行事の直前にはアメリカへ転校したかつてのクラスメイトから、奇妙な葉書が舞い込んでいた。去来する思い出、予期せぬ闖入者、積み重なる疲労。気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫る―

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恩田陸さんの本です。

この作品は、言わずと知れた2005年・本屋大賞受賞作です。

ついに映画公開日も迫ってきている、夜のピクニックでございます。

色々なところで「面白い」というのを聞いていたし、本屋大賞を受賞されたことで、凄く気になっていたのです。
そして学園モノじゃないですか!
読まないわけがありません。

しかし今更新刊で買うのもなあ・・でも図書館じゃなかなか借りられ無そうだし・・人気だろうし・・

とウダウダしていると、古本屋で発見してしまいました。即購入し、読み始めました。

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主人公は、高校三年生の二人の男女。

西脇融(にしわきとおる)と甲田貴子(こうだたかこ)である。

実は二人は異母きょうだいなのだが、その事実をほとんどの人が知らない。
貴子の母は二十代前半に結婚した夫と共同経営していた商事会社を離婚と共に一手に引き受け、そこそこ成功し貴子と二人で暮らしている。

貴子は、融の父が母と浮気をした時に出来た子供なのである。
しかし母が離婚をしているせいか、周囲からは別れた夫の子供と思われている。

貴子と融が高校入学前にその父は胃がんで亡くなった。
その葬儀の時、貴子を恐ろしい目で睨みつけていた少年が、融だった-

互いに同じ高校に入学したものの、二年間は別のクラスで何事もなく過ごすことができた。
しかし、三年になって同じクラスになってしまったのだった。

・・・

貴子はこのままでいいのだろうか、と思っている。
今年最後の学校行事、歩行祭(夜を徹して、学校までの道をひたすら歩き通すという行事だ)が終われば、受験・・そしてそのまま卒業となる。

異母きょうだいである融といがみあったまま、言葉を交わすことなく卒業・・そうしたらもう会う事はないかもしれない・・

だから貴子は、小さな賭けをすることにした。
賭けに勝てば、融と面と向かって自分たちの境遇について話をするように提案しよう、という覚悟で歩行際に臨むのだった。

・・・歩行祭の前日、N.Y.に行った友人榊杏奈(さかきあんな)から不思議な葉書が届いていた。

たぶん、あたしも一緒に歩いてるよ。去年、おまじないを掛けといた。貴子たちの悩みが解決して、無事ゴールできるようにN.Y.から祈ってます。

いったいどういう意味なのか?
貴子はその言葉の意味を図りかねていた。

・・・

貴子は異母きょうだいであることを恥とも思っていないし、融を嫌っているわけではないのに対し、
やはり自分の父の過ち(浮気)によって同い年のきょうだいがいるという事実に、苛立ちと嫌悪をあらわにする融。

その言いようのない苛立ちを、どうしても貴子にぶつけてしまう。
言葉を交わさぬとも、射すくめるような目で睨んだり・・

一方、融の態度に困惑し、少なからず悲しい気持ちになったりする貴子。

歩行祭は続く。
体が鉛のように重い。休ませてくれ!と体が訴える。それでも歩く、ひたすらに、歩く。

夜が更け、夜が明け、時間は刻々と迫る。

賭けに勝つことは出来るだろうか?

貴子は、勝ちたいのか、負けたいのかも分からなくなってくる。
それでも歩き続ける。

杏奈が言っていたおまじないとは?
貴子たちの悩み・・貴子「たち」とは誰をさしているのか?

融の友人、戸田忍(とだしのぶ)と貴子の親友、遊佐美和子(ゆさ?みわこ)が動いて、融を好きな女の子の絡みがあったり、意外な人物の登場なんかで、残り少ない歩行祭の中で、貴子は・・

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個人的に、物凄く美和子が好きです。

老舗の和菓子屋の娘で、大和撫子な美和子。

容姿端麗で男の子にも人気があり、秀才で、およそお嬢様のたしなみ(お茶だのなんだの)も全て揃った
完璧な女の子。

いい意味で、美和子の影響を受けて成長していく貴子がいいです。

美和子みたいな親友が欲しい!(笑)

しかし、歩行祭って・・・
絶対自分はリタイヤだな、って何度も思いました。

歩行祭が終わって家に帰って眠る、ということを死ぬ程欲している状況って・・かなりの極限状態だなって思うし・・。
想像以上に大変なんでしょうね・・。

地元茨城の水戸一高がモデルになっていると聞きました(恩田さんの出身校なんですね!!)

確かにめっちゃ頭いい高校で(友人が通っていたのですがね)私服で、進学校で、歩行祭なんていうのがあったみたいで(茨城版の記事に)新聞にも載ってました。

ほんとに、自分が歩いているのでは?と錯覚してしまうほど、物語にのめりこんでしまいましたね。

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恩田さんの作品で、図書室の海という本があるのですが、その中にピクニックの準備という短編が収録されていて、既にそれは読んでいたので「あれ、何か読んだことあるなあ・・」って思っていました。

その謎、全てが解けてすっきりした読後感。
続きがどんどん気になって朝昼晩ってずっと読んでいたし(六番目の小夜子の時と同じ!)最後のページが近づいてくると、何だか悲しいような気持ちになるしで・・
かなり楽しませていただきました。

本屋大賞、納得です!

少し厚めだったけど、それすら気にならない感じでした。

融と貴子、その後一体どうなったのでしょうね?

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映画のストーリーは、恩田さんの本と違いがあったりするのか?
分からないから期待できます。

主演の多部未華子さんは、ランクヘッドの夏の匂いのPVにも出演されていた女優さんです。
表情で魅せることの出来る彼女が、どんな「貴子」を見せてくれるのかが楽しみです。

今月末から公開。
観に行く予定です。