No-music.No-life

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昨日、火星に行った。

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6年3組、山口拓馬。友だちはいらない、ヤル気もない。クールにきめていた。ところが突然、病気がちの弟・健児が7年ぶりに療養先から戻ってきて、生活が一変する。家ではハチャメチャな弟のペースに巻き込まれ、学校では体育大会のハードル選手にでくちゃんと選ばれ・・-

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笹生陽子さんの本です。

これは・・最初から読みやすくて面白く、すぐに読みきってしまいました。

今回の主人公の少年は、山口拓馬。
ストーリーを読んでいると、本当に小学6年生?と思えるほどに大人っぽくて冷めている。

熱くなれるものは、ない。
何事も、それなりにこなせればいい。
どうでもいい

そんな冷めた感情を持つ拓馬は、ひょんなことから大会でハードル走をする選手に選ばれてしまう。
そして家に帰れば、病気で療養し長い間家に帰ってきていなかった弟、健児が戻ってくる。

穏やかだった日常が変わっていく・・
乱されていく。

勉強も運動も人付き合いも、それなりにソツなくやってきたクールな拓馬が弟の健児、立候補で同じハードル走の選手になった、でくちゃんと、学校では木崎(大金持ちのいばりんぼう)とその手下谷田部が絡んで・・どんどん変わっていく。こんなはずじゃなかったのに・・・!

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勉強だって運動だって、完璧じゃなくても、それなりにこなしてきた主人公、拓馬。

バッテリーの主人公、原田巧にも似たクールさな語りで進む物語はどんどん面白くなっていきます。

最初は弟に嫌悪感しかなかった拓馬。
でくちゃんのひたむきさ、人の良さ、努力する姿に冷めた感情しか持てなかった拓馬。

そんな主人公が、どんどん前向きになっていく。
クールなんだけど、今までの空虚な感じは全くなく、力強い姿に胸がきゅんとしてしまいます。

病気で弱くて甘えん坊のイメージ(3分の2まで読んだ時点で)しかなかった弟の健児の意外な強さにも驚かされ、成長が伺えるんです。

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拓馬が、最後に力強くハードル走をこなすシーンでの言葉が心に響きました。

「なんでもできる人間が、この世でいちばん幸せだとはかぎらないんじゃないかって。
なんでもできるということは、やりたいことができるというのと似てるようで、ぜんぜん違う種類のものなんじゃないかって。
(中略)わかっていたけど、わからないふりをして生きてきた。なぜって、それは自分にとって都合のよくないことだから。自分に都合のよくないことは、無視したほうが楽だから。

それといつもの練習に、健児と一緒に河原に行った時、ふと健児が口にした台詞も。

「・・普通は、みんな思ってる。変わりたいって思ってる。変われないのは、その人が本気で思ってないからなんだ・・・」

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何だか、色々なものをもらった気がした一冊でした。

変われないって嘆いている私は、ほんの少しでも変わろうとする努力をしたのだろうか?

・・・答えは、「NO」だ。

皆さんは変わりたいと思いますか?
そのために努力はしていますか?

そんなことを考えるきっかけになる一冊です。
ぜひ。