ランクヘッドというバンドは、孤独や悲しみ、痛みや希望を飾らない言葉で表す事が出来るバンドだと思う。
それは時に日常の些細な出来事だったり、夕暮れ時の景色であったり。
ランクヘッドの歌を聴いていると、自分がその歌の主人公になったような気分にさえなる。
網戸越しに入り込んだ夜は優しすぎて窓を閉じた
この目も手も声も全部捨ててしまえば楽になるか
/ ランドリー
例えばランドリーの歌詞では、夜が優しすぎると歌った後で、自分自身の目や手や声までも捨ててしまえば楽になるのだろうか?という疑問をぶつけている。
映写機回したみたいな陰の出来る
夕暮れの京王線から見えるその町並みは
やっぱりどこか懐かしくて
とても儚げで、綺麗で
そのせいでほんの少しだけ寂しく見えた
/いつかの電車の音がする
この歌では、「京王線」という実際に存在する電車の中から見える景色を見て感じる気持ちがストレートにぶつけられている。
京王線に乗る度に夕暮れ時の光景を思い浮かべてしまいそうになるのは、この歌の影響に他ならない。
『嫌われたくないから僕は
心にもない事を言うけれど
たまに本音が出たら
どうも君らしくない
なんて言われてさ
僕はつくづく自分が嫌いになるんだ』
『だけどいつだって僕らはどうも空回りしては
どうしたらいいのかわからない』
『いつかは無くしてしまうんだったら
なら最初っからいらないと
臆病になってしまうんだ』
そして、最新作「体温」
そのカップリングの「ハイライト」
これには参った。完全にやられた。
冒頭のギターといい、音といい、歌詞といい、これほど音楽センサーにひっかかる作品は珍しい。
何より歌詞がいい。
他人とあわせることで嫌われまいとしているのに、「君らしくない」と言われて自分がますます嫌いになる。いつかは失うものならば、最初からいらないという諦め。どこに進めばいいのかという迷い。
等身大なんていう言葉で片付けたくない。
これこそ、「リアル」な人間の姿なんじゃないだろうか?
誰もが通る葛藤や迷いをストレートに歌にする。
これが、ランクヘッドという音楽だと私は思う。
だからこそ、多くの人を魅了する。
最後にこの歌はこんな歌詞で締めくくられる。
『だけどそんなのだって実はきっと
明日に繋がっていると思っていたいんだ
信じていたいんだ』
孤独、絶望、夢、希望・・・
全てを受け止めて、浮上する。
ランクヘッドの音楽は、こうして一人一人の人間を魅了する。
お前誰だよ!!(って自分にツッコミ入れたいです・・恥)