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みかづき

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小学校用務員の大島吾郎は、勉強を教えていた児童の母親、赤坂千明に誘われ、ともに学習塾を立ち上げる。
女手ひとつで娘を育てる千明と結婚し、家族になった吾郎。ベビーブームと経済成長を背景に、
塾も順調に成長してゆくが、予期せぬ波瀾がふたりを襲い――。

森絵都さんの本です。
 
新聞の広告でオススメされていたのを見て、ずっと読みたいと思っておりました。
思えば森さんの作品を読むのはかなり久しぶりな気がします。
大人向けの森さんの作品は今のところ、これだ!と思うほど好きな作品がないのもあって、児童書以外だとあまり手に取らなくなってしまったせいもありますね。。
 
しかしながら、ハードカバーでこの分厚さ・・・!
通勤中に読んでいたのですが、重くて大変でした。
それと、個人的に中盤でだれてしまって、なかなか進まなかったというのもあるのですが。。
 
学習塾を立ちあげる事になった千明と吾朗。
親子3代に渡って描かれる壮大な物語です。
 
古き良き時代から現代へ。
時代が変わっていくと共に、塾のありかたや子供達も変わっていきます。
「塾」の生き残りをかけ、様々な事に挑戦していく中で家族との衝突や不和、時代の波にもまれながらも日々を生きていく姿が力強く描かれます。
 
なんて言ってみるものの、結局一番最後の蕗子の息子の一郎の話になってようやく良さがじわじわと伝わってきた感じでした。
 
吾朗とは血のつながりのない蕗子ですが、この子が冒頭の登場から最後までいい味を出していましたね。
 
私は貧乏で塾に通わせてもらえなかったタチなので、平気で塾をさぼる友達が不思議で仕方ありませんでした。
一度通ってみたいなと思っていたこともあって、吾朗のような先生に教えてもらえたらもっと勉強が好きになっていたかもしれませんね・・・
 
家庭の都合で勉強をしたい、学びたい、能力があってもそれを伸ばす事ができない環境に置かれた子供達は、どの時代にも一定数いると思うのですよ。
そこに着目して一郎が立ちあげたボランティアは凄く良いと思います。
 
読み応えのある一冊でした。
(4点)