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永い言い訳

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人気小説家の津村啓こと衣笠幸夫の妻で美容院を経営している夏子は、バスの事故によりこの世を去ってしまう。しかし夫婦には愛情はなく、幸夫は悲しむことができない。そんなある日、幸夫は夏子の親友で旅行中の事故で共に命を落としたゆきの夫・大宮陽一に会う。その後幸夫は、大宮の家に通い、幼い子供たちの面倒を見ることになる。
監督・脚本・原作:西川美和

西川監督の作品は、「ディア・ドクター」から新作が出る度に観に行っています。
 
あーでも本木雅弘苦手なんだよなー、どうなんだろと予告編を見ながら思いつつ、でもやっぱり気になるので観てきました。
 
結果、いい映画だったなーと素直に思える作品でした。
 
西川監督といえば、独特の余韻(ちょっと重い)を残す作品が多い印象。
なので、この話も暗めなのかしらとちょっと構えていたんです。
 
PG-12だしとか(笑)
(↑これは冒頭の黒木華との浮気にふけるシーンが割と生生しいせいだと思いますが、それ以外はもっと幅広い人に観てもらいたい良作なので入れなくても良かったのではと思ったりもします)
 
妻を事故で失ったその時、他の女との情事にふけっていた最低男。
贖罪の方法が分からない。誰に許しを請えばいいのか、罪悪感だけを抱えながらも泣けない男である。
 
そんな最低な主人公が、妻の友達の夫と残された子供達とひょんなことから繋がりを持つようになる。
 
自身には子供がいない夫婦だったが、子供達と少しずつ打ち解けてくると、生き生きとした表情を見せ始めている。
 
しかし結局は現実逃避。
自分の立場に変わる人間が現れただけで見事に嫉妬し、全てを投げ出して一人の生活に戻ってしまう。
妻に切ってもらっていた髪は無造作に伸び、髭も伸び、もうどうしたもんなのかという状況の中、事故の知らせが飛び込んで来て--

元木雅弘、上手いですね。
イケメン(好みではないが)なので様になるし、ダメ男が子供達と出会う事によってパパっぽい表情を魅せるのもなんとも上手くて自然。
 
あとは竹原ピストルさん!
トラックの運転手でパパ、あーこういう人絶対いるわ!と思う泣き虫父さん。
多感な時期の息子との距離の取り方に悩む。そして妻を忘れる事ができず、残された留守電のメッセージを消せない。メッセージを聞いてはむせびなくばかり。
頭は決して良くないし、ちょっと格好悪い、不器用な父。だけど子供達の存在に救われているという父親像が見事にここにありました。
 
そして何より良かったのはこの二人の子供達。
何だかクスッと笑ってしまうシーンもあったけれど、切なかったりもして。。
父親には言えないことも、他人だからこそ言えることがあるんだよね。特にお兄ちゃん役の子がいい演技をしていたなあ。
 
再生の物語、なのかな。
妻の死に向き合って、受け入れて、ようやく自分自身の気持ちにケリをつけることができたと思われる主人公の。
 
今回は珍しく?ラストはすっきりとした後味の良いもので、その意外性も含めて「良い映画だったな」と思えたのでした。
 
どうでもいい話ですが、黒木華山田真歩さんの顔立ちがめちゃくちゃ似て見えたのは気のせいか・・・
 
山田真歩さんって、あー!宇田川先生役の人か!花子とアンの。
宇田川先生は化粧濃い目立ったから何だか全然別人に見えてしまいましたよ(笑)
 
(4点)