人はただ愛されたいと願うのに、なぜ、愛にわがままになってしまうんだろう。今カノ、元カノ、忘れられない女、未知の女…白岩玄初の異色恋愛小説集。
白岩玄さんの本です。
「野ブタ。をプロデュース」「空に唄う」を読んで、文藝賞受賞作家らしく、当然私の好みの作家さんなんですけど、本作、良かったですねえ。
なんかこういう軽いタッチで日常を語る系はかなり好きなんですけど、様々な恋愛の形があって、人を思う方法っていうのもそれぞれなんだなというのがそれぞれ面白い短編集でした。
表題作の二人の男性の視点で展開していく物語も、対象的な二人だからこそ恋愛の仕方も全然違っていて面白かったですし。
一番好きなのは、元彼元カノの関係で友達以上恋人未満で別れても宙ぶらりんな感じで関係が続いている男女の話。男性側は元カノに未練たらたらで。彼女はその気持ちにこたえられないと思いつつ、はっきり距離を取ることをしない。
会えば付き合っている時と変わらない関係、前に進む事も戻ることもできない状況。
そんな状況から抜け出し、前向きな光を魅せて終わるラストもかなり好み。
意外と皆さんの感想をみると辛らつなものが多いですが、個人的にはかなり好みでした。
(4.5点)