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武士道ジェネレーション

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 あれから六年、大学を卒業した早苗は結婚。香織は、道場で指導しながら変わらぬ日々を過ごすが、玄明先生が倒れ、桐谷道場に後継者問題が―。

 
誉田哲也さんの本です。
 
まさかあの大好きな「武士道」シリーズの続編を読めるとは・・・!
シックスティーン、セブンティーン、エイティーンときて完結かと思いきや、大学生から社会人になるまでの二人のその後を読める日がくるなんてと嬉しくなりました。
 
香織はやっぱりシリーズ初期の頃から比べて大分丸くなって好ましいのですが、大学を卒業しても剣道を続けていて、剣道一筋の生活を送っているということにうんうん、と嬉しくなりながら読みました。
 
対して早苗は・・・怪我により剣道からは遠ざかっている生活。
また、大学、就職、結婚とある意味「普通の」人生を送っている感じになっていて、ちょっとこちらは拍子抜けか。
 
結婚相手が香織にも関係する人だったのがまだ良かったけれど・・・剣道から離れてしまったのは非常に残念。
香織も諦めきれないのか何としてでも早苗を剣道に戻そうと画作するが上手くいかない感じだし(笑)
 
桐谷道場の存続に関わる「シカケとオサメ」。
このあたりはエイティーンをもう一度読み直さないと思い出せない部分もあるのだけど、ちゃんと地続きになっている感じがいい。
また、その後も相変わらずの黒岩の変わらなさも良いなあと。
 
ただね、今回凄く残念だったことがありましてね。。。
警察小説を主に書いている誉田さん。
作品にちょくちょく誉田さんの主観である歴史的考えが出てきたりすることが多いなと読んでいて気付いていたのですが、今まで一切そんな思考や描写がなかった気がするのに、早苗にそれを語らせてしまったこと・・・
早苗ってそんな考え方を持っていたんだっけ???とまず「?」と思って、あとは違和感。
 
その他の作品にはそういう考えが入っても、ちゃんと物語として通用していたし違和感はなかったからいいんです。歴史的な事に対しての考え方は人それぞれだと思うし否定も肯定もしません。
だけど、このシリーズにだけは。。。入れないで欲しかった。。とそう思わずにはいられませんでした。
 
早苗の大学生活の下りは本当に唐突だし、そこからなあなあに就職、そしてすぐ結婚とちょっとなあという展開だったのも残念で。
お気楽な印象だけど、剣道が関わることでお気楽なだけではない早苗のキャラが凄く今までは立っていたから・・・本作では単にお気楽な女の子みたいになってしまっている感じは淋しかったなあ。
 
対象的に剣道一筋の香織のある意味でぶれていないところはとても好ましかったし、人によっては好き嫌いがあるかもしれないけど、大酒のみなのも香織らしいなって私は思えましたね。
 
ともあれこれでこのシリーズは本当に完結みたいです。
ひょんな形で主人公を変えて続きが書かれたり・・・・しないかなあ、しないか。
 
(4点)