No-music.No-life

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水やりはいつも深夜だけど

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セレブママとしてブログを更新しながら、周囲の評価に怯える主婦。仕事が忙しく子育てに参加できず、妻や義理の両親からうとまれる夫。自分の娘の発達障害を疑い、自己嫌悪に陥る主婦。出産を経て変貌した妻に違和感を覚え、若い女に傾いてしまう男。父の再婚により突然やってきた義母に戸惑う、高一女子。同じ幼稚園に子どもを通わせる家々の、もがきながらも前を向いて生きる姿を描いた、魂ゆさぶる5つの物語。


窪美澄さんの本です。
 
何だろ・・・もう一つ目の話を読んだ瞬間に心を掴まれていました。
この作家さんは本当に、読者をぎゅっと掴んで離さないんですよね。
 
結婚も、ましてや出産や育児、ママ友付き合いなど、未だ経験したことないはずの自分なのに、一つ目の話の人に嫌われないようにママ友との適度な距離感、好感をもたれる振る舞いや格好に悩み逃げ出したくなるほどの苦痛を感じている主人公に何故か感情移入してしまっていました。
 
想像でしか分からない世界なのに、まるでこれから近い未来に起こるかもしれない自分を見ているような。
 
嫌われたくないという思いが強過ぎて、人が自分の事を悪く言っているかもしれない、と疑心暗鬼になるところなど、自分もそうなのでリアル過ぎて息苦しくなるほど。
 
けれどもラストはほのかな明るい未来を予測させてくれるので、ほっと息をつけるのです。
 
どの話も日常生活にありそうなものばかり。
 
幼稚園の子供を抱えた母親、父親の話だけではなく、子供側(幼稚園児ではないですが)の話も最後に収録されていて、この話がまたこの本全体をきゅっとまとめてくれている感じで良いです。
(唯一この話だけはそこまで悲壮感みたいのはなかったですね)
 
通勤途中に読んでいたので、思わず泣いてしまいそうになる話でした。
うー、これはかなり好み。
(5点)