北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現! 日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起った。冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音……。自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮彫りにする、ドキュメンタリー長編。
吉村昭さんの本です。
恐れながら・・・実際にあったこの事件、私は全く知りませんでした。
しかし、山ガールデビューしてから熊よけの鈴必須ということもあり、他人事とは思えない内容でした。
体重340kg、体長2.7m。
バスケットゴールよりも高いらしいです。
2.7ｍの熊・・・
想像できないですよね。
そんな羆が突然目の前に現れたら、なすすべもないでしょう。
大人一人、骨を砕くほどの力。
人間を食べてしまう熊。話で聞いただけではあまりにイメージができません。
ただ、この作品では淡々と事実を語っているので、尚更羆が人を食らっている所や事件の凄惨さが浮き彫りになって、読み終えて怖くてたまりませんでした。
そんな本を読んだ後、先日山登りに行ったのですが・・・
山中で黒い毛におおわれた動物を見つけ、同行者が「小熊だ！」と動転し（散々この小説の話を私がしていた）、遠目から見たら小熊にしか見えないその動物に熊だ熊だとテンパっていると、もう一人の同行者に、「何いってるの？どうみても鹿でしょ」と突っ込まれて驚いたという事件がありました。
いやほんと、冬眠前の熊程怖いものはない気がするので、鹿で良かったと思います。
話は逸れましたが、ドキュメンタリーとして完成度はかなり高い本です。
一度読んでみる価値はある作品だと思います。
（4.5点）
